1.現実は常に目の前にある。しかしそれに目を向けようとせず、自分たちの住みやすい架空の世界を作り上げた大人たちがいた。それに一度すがりついた大人(人間)はなかなかそこから抜け出すことができない。目を向けようとしない大人によって勝手に連れ込まれた世界に依存してしまった一人の少年は、現実への戻り方を完全に見失っていた。そんな少年の前に現れた現実世界の一人の少女。二人は一つの目的のために歩き始めた。そんな現実の世界を歩く二人の姿と行動に、現代社会への痛烈な批判を見て取ることができた。一人で生きていくことのできない二人の子どもが、大人と同じレベルで現実に立ち向かい、生きていくことの難しさや生きることの重みを訴えていた。そして二人は最後に現実の中の現実にぶつかり、答えを見つけ出した。大人でもそうそう出すことの出来ない答えを見つけた。二人は現実から目をそらさず、「生きる」と言った。今まで観てきたどんな映画よりも「生きる」ことの重みを感じた。重い内容の作品だったのに、見終わった後の爽快感があまりにも清清しく、全体の印象をとても綺麗にした。この映画を社会的に子どもと呼ばれる間に観ることが出来てよかった。