3.《ネタバレ》 「どちら側からも認められる作品を目指した」という監督の意図もあって、イギリス側(≒プロテスタント)からも北アイルランド側(≒カトリック)からも見ることができる。映画の持つ歴史的な価値は高いと思う。双方を切り替えるタイミングや見せ方がうまく、ドラマとしても見ごたえがあった。メイキングを見ていると、この監督の腕のよさがわかる。見せ場での、伝える力を持っている監督だなと感じた。
非武装の市民を撃つシーンは、現場の重苦しさ、リアルさが出ていて、感情を揺さぶられる。ひでえ、なんてことを…と自分もその場にいるような気持ちで思わずにはいられない。IRAの報復したくなる気持ちもよくわかった。
国の都合からすると、市民の命よりも、体制の方が大事なのかもしれない。虐殺した軍の指揮官に勲章ですか…。大きくあれ、小さくあれ、似たようなことが今も世界のどこかで繰り返されているような気もする。人間ってやつは…。双方がうまくかみ合いさえすればこのような悲劇は起こらなかっただろうに…。すべての悲劇は、何かが少しずつかみ合わなくて起こるものなのかもしれない。