市民ケーンのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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市民ケーン

[シミンケーン]
Citizen Kane
1941年上映時間:119分
平均点:7.01 / 10(Review 200人) (点数分布表示)
公開開始日(1966-06-04)
ドラマモノクロ映画ミステリー
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2018-03-25)【イニシャルK】さん
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監督オーソン・ウェルズ
キャストオーソン・ウェルズ(男優)新聞王チャールズ・フォスター・ケーン
ジョセフ・コットン(男優)リーランド
ルース・ウォリック(女優)エミリー・ノートン
アグネス・ムーアヘッド(女優)メアリー・ケーン
ウィリアム・アランド(男優)トンプソン(トムスン)
ポール・スチュアート(男優)レイモンド
エヴェレット・スローン(男優)バーンスタイン
ドロシー・カミンゴア(女優)オペラ歌手スーザン
小松方正新聞王チャールズ・フォスター・ケーン(日本語吹き替え版【NHK】)
島宇志夫リーランド(日本語吹き替え版【NHK】)
脚本オーソン・ウェルズ
ハーマン・J・マンキウィッツ
音楽バーナード・ハーマン
撮影グレッグ・トーランド
製作オーソン・ウェルズ
RKO
特撮ヴァーノン・L・ウォーカー(特殊効果)
美術ヴァン・ネスト・ポルグレス
ダレル・シルヴェラ(セット装飾:ノンクレジット)
ペリー・ファーガソン
ヘアメイクメル・バーンズ(ヘア担当:ノンクレジット)
編集ロバート・ワイズ
録音ジョン・アールバーグ
あらすじ
「薔薇の蕾」という謎の言葉を残して死んだ新聞王チャールズ・ケーン、アメリカン・ドリームを体現したかのような彼の私生活をめぐり、新聞記者がケーンを知る人の間を奔走する。大統領の姪だったケーンの最初の妻はで彼の政治的野心の助けになるはずだったが、ケーンは歌が好きな女性スーザンと恋に落ちて政治を断念する。妻と息子が事故死した後、ケーンはスーザンと再婚し、彼女をオペラ歌手にするために私財を投じるが、金では変えることができない現実に直面する。ケーンにとって富とは、愛とは、成功とは一体何だったのか?
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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32.《ネタバレ》 古い映画だと侮って長年じっくり観たことがなかったけど、今更ながら観直してみるとトンデモない映画だと改めて気づかされました。これが弱冠25歳の演劇青年の初監督作だとは、恐るべしオーソン・ウェルズ! 狂言回し役の新聞記者がチャールズ・フォスター・ケーンの関係者たちを回って彼が発した最期の言葉「ローズバッド…」の意味を探ってゆくというストーリーテリングは、37年のフランス映画『舞踏会の手帖』とよく似ているというか参考にしたに違いないと思います。たしかに舞台演出家だったウェルズらしくセリフには拘っている感はありますが、根本的に本作はあくまで映像でストーリーを繋ぐ映画です。その映像がまた凄いの一語に尽きるのです。ローアングル・パンフォーカス・長回しと目くるめく映像テクニックの玉手箱状態、撮影監督グレッグ・トーランドの力量もあるでしょうが実現させたウェルズのイマジネーションの成せる技であるのは間違いないです。またウェルズやジョセフ・コットンおよびエヴェレット・スローンなどの老け演技がまた見事で、メイクアップ賞をあげたいぐらい(そのころのアカデミー賞にはメイクアップ賞はなかったけど)。チャールズ・フォスター・ケーンは映画史に残る複雑なキャラ、でもこれが数奇な映画人生を歩むことになるオーソン・ウェルズの未来を予言しているような感すらあります。とにもかくにも、一生に一度は観て損はない映画だと思います。 モデルとされた新聞王ランドルフ・ハーストが激怒して潰しにかかったというのは有名なお話し。でも“ローズバッド(バラのつぼみ)”が愛人のマリオン・デイヴィスのアレにハーストがつけた愛称だったとは、そりゃハーストも怒りますよね(笑)。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-02-16 22:33:00)(良:1票)
31.《ネタバレ》 ~Citizen Kane~邦題そのまま。
20年ほど前に初めて観た。“ばらのつぼみ”って何だろう?だけで引っ張り、ケーンという人物の幼少期から最後までを描くスタイルの斬新さに驚いた。
色々な説が出てきた結果、トンプソン記者が出した『人生は一言では語れない。“ばらのつぼみ”はケーンの人生の、失われたパズルのピースなんだろう。』は、ここまでケーンのド派手な人生を観せられた私には、充分に説得力のある結論だった。
その後倉庫のガラクタとともに映る“ばらのつぼみ”。それが人知れず燃やされる。最後のわずか数分で本当の正解を知らされたことにショックを受けた。
何だこの『誰も正解に辿り着けず終わるのに、私だけが知ってしまった』感。この衝撃を誰かに伝えたかったけど、こんな古い映画見た人なんて周りにいないし、どうにももどかしい気分になったっけ。

「彼が求めていたのは愛だけ。相手に愛を与えられないから愛を失った。彼は自分自身は愛していた。あと母親を愛していた。」
あのソリは母親が、クリスマスか誕生日にプレゼントしたものだろう。少年には、他のおもちゃと違って恐らく特別なものだったに違いない。当時の生活水準では高価な品だったとか、ねだって無理に買ってもらったとか。とにかく“ばらのつぼみ”は少年の宝物だったんだろう。
スーザンと出逢った日、ケーンはだいぶん前に亡くなった母の遺品の整理に、マンハッタンの倉庫へ向かっていた。思い出探しの感傷旅行のつもりだったと。恐らくその後、倉庫には行かなかったんだろう。
母親は幼い頃に手放したケーンの宝物“ばらのつぼみ”を捨てていなかった。ケーンが改めて倉庫に向かっていれば、ソリは見つかっていたかもしれない。
“おかえりなさいケーンさん、467名の従業員より”従業員たちが感謝の気持から給料を出し合って作ったであろう記念のカップ。
従業員たちと積み重ねた信頼より、大統領の姪エミリーとの新しい愛と野心を優先するケーン。
数年後、エミリーとの関係は冷え切っていたが、スーザンとの関係を暴露されたのち、一人息子まで失ってしまった。
ザナドゥの山のような未開封の木箱。彫刻、絵画、貴重品の数々。金で買えるものは何でも手に入るケーン。スーザンを失った時、スノーボールに幼少期のふるさとを見て、自分の欲しいもの、失ったものはもう手に入らないことに気がつく。
親元からNYに連れて行かれたケーンは、クリスマスにサッチャーから新品のソリをもらう。
同じソリでもこれはケーンが大事にしていた“ばらのつぼみ”じゃない。
自分の大事な宝物、自分の求めた愛。一度失うと、そのあと他のどんなものでも、埋め合わせることなんて出来ない。
K&Kさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-08-21 01:44:10)(良:1票)
30.超久しぶりに再見。しかし内容はすっかり忘れていました。さすが、凝ったシナリオに凝った映像。今から見るといささか地味で退屈ではありますが、「バラのつぼみ」の一言で最後まで引っ張るあたりがすばらしい。経営する新聞社のイエロージャーナリズムな感じも、なかなか今日的で見応えがありました。
で、「バラのつぼみ」ですが、私はラスト直前に記者が言った「人生は一言では語れない」とか「無数のピースのうちの1つに過ぎない」あたりがオチでも十分かなと思いました。その後に本当のオチが待っているわけですが、そこに一発でカタルシスを感じた観客はどれだけいたでしょうか。
恥ずかしながら私はすっかり「?」で、最初からざっと見直してそういうことかとようやく納得しました。録画だからできた芸当です。あるいは2度、3度と見直すことで、また新たな発見があるかもしれません。
しかし映画とは本来映画館で見るもので、基本的に一期一会のはず。2度、3度と見直す時間的・金銭的余裕のある人は、そう多くないでしょう。まして80年前であれば、なおさらです。そういう観客にどこまで配慮して作ったのかなと。別に批判ではないですが、ちょっと疑問に思ったので。
言い換えるなら、昨今では映画の見方も多様化しているわけで、一期一会の人もいれば何度でも見返す人もいる。映画製作者はどちらに焦点を当てて作ればいいのか、あるいはそろそろ「映画」のカテゴリーをいくつかに分けたほうがいいのか。けっこう悩ましい問題なんじゃないかなと思います。私は傍観者として楽しませてもらうだけですが。
眉山さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-07-16 02:43:01)(良:1票)
29.1941年に25歳という年齢でこれが制作されたと思うと、オーソンウェルズは類まれなる才能の持ち主だったと思います。今でこそ当たり前として受け入れられる映像技法の数々をまざまざと見せられ驚きました。
なさんなさん [DVD(字幕)] 9点(2016-09-14 23:31:04)
28.何度見ても素晴らしい









pillowsさん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 17:55:48)
27.《ネタバレ》 久々に見直してみたら、やっぱり面白い。
濃厚な人間ドラマが、無駄なシーンなく見事に描きだされている。
最初の妻との食卓での会話は、どんどん冷めていく様がよくわかる。
2番目の妻も、才能がないのにメディアの力を使って無理やりスターにさせようとしたのが致命傷。
自分しか愛せず、自分しか信じることのできなかった男の末路。
妻ともただ一人の友人とも決裂するさまが孤独感をリアルに浮き彫りにして哀れを誘う。
「バラのつぼみ」の謎で最後まで引っ張るサスペンス性もお手本の教科書的。
モノクロの古い映画だが、人間性や愛、幸福とはなにかといった普遍的なテーマに関わるだけに古さを感じない。
飛鳥さん [DVD(字幕)] 9点(2013-05-13 00:55:02)(良:1票)
26.「バラのつぼみ」という言葉の意味を探るニュース記者、その過程で暴かれるケーンの生涯。ラストシーンで明かされる真実。O・ウエルズの評価がやたら高いが、「市民ケーンの真実」を観ると、脚本家H・マンキウィッツの功績が大きいようだ。いかに裕福で成功した(と思われる)人生を送ろうとも、主人公には満たされないものがあったはず。両親と離れることも知らず、夢中でソリ遊びをしていたのだろうか?その後の寂しさ、喪失感は察するに余りある。音楽(B・ハーマン)は合わないなあ。少年時代に大切なものを失った体験・・・。それぞれの「バラのつぼみ」を抱えて生きている人は多いのではないか。他人にはどうでもよいことが、本人にとって重大なことって結構あるんですよ。
風小僧さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-12-23 20:04:10)
25.《ネタバレ》 全編特撮映画と考えた方が良い。例えば後妻が去った後で大暴れするシーン。ローアングルで怪獣映画と見まがう迫力。大映しのガラス球を掴む腕。廊下越しのロングで心の空虚さを表現した後、虚ろに歩くケーン(K)。やがてその姿が鏡に多重に映り、複雑な彼の人生を縮図にして見せる。後になって分るが、それは彼が人生を悟った瞬間であった。感嘆しきりである。◆判りづらいのは、金持ちになった母親が銀行を後見人として息子を手放すところ。日本には無い習慣ですね。理由として父親の暴力が示唆され、愛を知らない子供が誕生。◆重みを加えているのは、Kの複雑で矛盾を抱えた性格。金持ちに満足せず、常に何かと闘う。新聞に興味を持つのは社会と闘えるから。唯一の友人とも闘う。若くエネルギッシュで理想と野心に燃えるが、自己矛盾に気づかない。彼が悪と叩く対象は、彼が最大の個人株主の会社。産業界からはコミュニストと呼ばれ、労働者からはファシストと呼ばれる。貧しい人たちの味方を標榜しても、労働者が団結すれば叩き、新聞を選挙に利用する。後妻の酷評を自ら書く。最初の結婚は政治的野心のため。闘争は彼の自己確認の方法で、常に忙しく、家族との対話も少ない。後妻に歌えと命令するは世論との闘い。少年期の愛情の飢えが生んだ歪んだ自己愛。◆ザナドウ城は自己防衛、現実逃避の象徴。政治的に挫折し、大恐慌で新聞経営にも行き詰る。残されたのは自分の殻に閉じこもる事。美術品を買いあさるのは心の隙を埋める行為。最後の心の砦であった後妻に去られたとき、Kは初めて自分の人生について反省する。自己愛と虚栄心でただやみくもに突っ走り、欲しいものを手に入れたいと闘ってきたが、欲しいものは愛であり、結局何一つ手に入らなかった。世界有数の富豪で買えるものなら何でも手に入るというのに。多くの人を幸せにできると自負していたのに、自分一人さえも幸せになれなかった。Kの目に留まったのは雪の見えるガラス球。雪は幸せな子供時代を想起させた。愛情に恵まれていた時代。遊んだ橇には「薔薇の蕾」の文字が。人生は薔薇色に輝いており、やがて花開く未来が約束されていた。薔薇の蕾は彼自身だ。いくらお金を積んでも人生をやり直すことはできない。焼かれる橇は葬式の象徴。◆息子の事故死の様子が描かれていない。彼を最も苦しめた事件なのに。記者の黒子演出に違和感。「ローズバド」と言ったとき看護婦いない。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-19 04:09:59)(良:2票)
24.《ネタバレ》 「愛を否定して人は生きられない。」この言葉を人生をかけて証明したひとりの男の哀しい物語ですね。
 この映画での核は、幼少期のシーンだと思います。突然得られた莫大な財産により、母親は息子を愛しているにも拘らず、そしてその愛故に、息子を家庭から引き離してしまう。
ここからケーンは「愛の否定」というあまりに理不尽な魂の枷をはめられて生きる事に。

強く印象的だったのは、2人目の妻スーザンが精神的にボロボロになり、ベッドに横たわって「もう歌えない」と言っても、それでも「闘うんだ」と強引に歌うことをスーザンにせまってしまうシーンです。
これは自分が幼少期に経験した「意に沿わない押し付けられた幸せ」でも人は幸せになれる事をスーザンにも示して欲しかったのでしょうね。
そうでなければ、自分の人生そのものが、そして愛する両親が否定されてしまう。それ故の譲れないケーンの思いの現われだったと思います。

愛を否定しなければ、心から愛している両親を否定する事になってしまう。しかし、ケーンの魂は愛を求め続ける。この壮絶な魂の葛藤の果てに、無残な魂の敗北と死。
自分の運命を貫き通し、最後に唯一無二の莫大な富に囲まれていても、愛に飢え、魂の安らぎを得ることなく死に絶えてしまう悲惨さ。
この映画が名作と呼ばれ続ける理由がここにあるのだと思います。
ながもんさん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-25 18:55:58)(良:1票)
23.名作だと思う
成田とうこさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-04-06 09:15:50)
22.つい最近デカプリオ主演でハワード・ヒューズの人生が「アビエーター」として製作されましたが、アメリカン・ドリームという言葉まで作りながら、その中身、あるいは人生の意味に鋭く問いかけるアメリカの映画界全体、そしてこの映画を優れたアメリカ映画ナンバー・ワンに指名し続けてきたアメリカの映画ファンに脱帽します。監督・主演のウェルズが製作時にまだ20代半ばだったというから正に驚異的です。確かに「薔薇の蕾」の一言でもって作品全体をミステリー仕立にしようとしたのはちょっといきすぎだという気もしますが、内容が重厚なので高い点数を献上します。(この次はビル・ゲイツじゃないかな?)
かわまりさん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-05 10:42:58)
21.まず作品を観てビックリ、オーソン・ウェルズ二十代半ばで撮ったデビュー作という事実を知って二度ビックリ。写真に収められた他社の新聞記者たちが自社の記者として動き出した頃にはすっかり楽しくなり夢中になってしまいました。オーソン・ウェルズについて彼はおそらく天才なのであろうと思える作品。
ミスター・グレイさん [ビデオ(字幕)] 9点(2007-11-30 18:02:30)
20.《ネタバレ》 今年、アメリカ映画協会(AFI)が10年ぶりに歴代の映画作品ベスト100を選出しなおした。1位は前回に引き続き本作だった。私はこの映画を意識的に見逃していたが、これはよい機会だろうと思い、腰を落ち着け観ることにした。壮麗で見事な作品だった。圧倒的な物量、スケールで迫る撮影・セットがすばらしい。オーソン・ウェルズの恐るべき才能が結実している。登りつめた者にしかわからないであろう虚栄・虚無感を、映画ならではの手法によって観る者に伝えてくれたと思う。 この映画を見終わって、誰もが皆、自分の人生を少し考えたり、振り返ったりするのではないだろうか。
ジャッカルの目さん [DVD(字幕)] 9点(2007-07-10 00:53:15)
19.《ネタバレ》 この映画を観て、なぜかほっとした感情を覚えました。というのも、
僕自身が、ケーンのように自己愛で満ちているような人間だと感じているから。
自分自身にだけ関心があって、他人に愛されたい。その一方で他人には
愛を与えない…。まさに僕自身の持っているどろどろとした根性が
表現されているように感じられ、いつの間にかケーンに感情移入していました。
ケーン以外の他の登場人物の描かれ方を見ていても、人間の奥に潜んで
いるものをここまで抉り出している映画はなかなかないのでは、と
思いました。
まいったさん [DVD(字幕)] 9点(2007-03-15 00:42:42)
18.なるほど、これがあのアメリカ映画史上最高評価される誉れ高い作品「市民ケーン」か!評判通りスゴイカメラワークにウェルズの圧倒的な演技力。納得納得。だいたいこういう風にカメラワークが評価されてる古典って、今見たら理解できないことが多々あるけど、これは理解しまくりで、感心させられまくりでした。ひとつひとつのカットに映像的な意味をを持たせて過剰な説明をさけるやり方はまさしく映画のバイブル。「ゴッド・ファーザー」にも通じるところがありますね。そしてヒューマンドラマに隠されたミステリーとその最後のタネ明かしはなかなか素晴しく、「あっ!」っとさせられる。26歳のウェルズの天才っぷりには本当に脱帽、脱帽。でもなんだかここのレヴューでは案外低評価。やっぱりカメラの知識とかがないと楽しめないのかな?感心できないのかな?巨万の富を得たがゆえに周囲の人から理解されないケーン氏と同じく、この映画も技術的なことにこだわりすぎたがゆえに現代の人に衝撃を与えにくくなっているという皮肉。悲しいかな・・・。
ジャザガダ~ンさん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-31 18:22:39)
17.《ネタバレ》  影の使い方が印象的だった。オペラ歌手の妻が「もう歌いたくない」と泣きついたのに対してケーンは「君はただ歌っていればいいんだ」というシーンがある。まるで彼女を押さえ込むかのようにケーンの影が彼女に覆いかぶさっていた。彼女はケーンをしっかり見つめながら、顔を影からゆっくりと出す。ケーンの権力とそこから抜け出したい彼女の心理がそのシーンから伝わってきた。
 映画の見方を教えられた作品だった。
もりたろうさん [映画館(字幕)] 9点(2005-10-25 21:08:09)
16.《ネタバレ》 直球のお話でしたね。お金がいくらあっても心が満たされなければ不幸だ、という。でも素直に胸を打たれました。号泣したりはしなかったのですが、後から「薔薇の蕾」という言葉の意味を思い出すたびに胸の奥がしくしくと痛むんです。とくに切ないのは後妻が出て行った後のケーンの描写。怒りに任せて後妻の部屋を荒らすわけですが、目は虚ろで力がなく、足元はふらついていて自分が散らかしたものにつまづく始末。暴れまわっているはずなのに、あまりにも弱々しい。大人の男性というよりは、かんしゃくを起こした子供みたいな。そして召使たちが見守る中、生ける屍みたいになってとぼとぼと歩いていく。あの姿、大勢に囲まれながらも途方もなくひとりぼっちで、傷ついた子供のような姿が目に焼きついてはなれません。攻撃的なビジネス戦略も、莫大な財産の浪費も、選挙運動も、すべて幼い頃に見捨てられた寂しさを埋めるためのものでしかなかった。そして結局最期までその思いは満たされることもない……。哀しく、辛い映画でした。 (ほとんど予備知識なしで観ました。題名は聞いたことがあっても、アメリカ映画一位に選ばれたことも知らなかったし、まったく映画通ではないので技法のこともよくわかりません。他の方のレビューを読んで、素直な気持ちでこの作品を観られたことがすごく幸運だったと思いました。古典とは歴史的な意味合いだけで評価されているわけではなく、現代にも通じる部分があるからこそ残るものであって、それを感じ取ることができればとても良質の作品だと思います)
no oneさん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-04-14 12:05:07)(良:1票)
15.《ネタバレ》 新聞記者から大富豪となったケーンという人物の生涯を、
最初ドーンと映画の中で映画を見せてくれます。記事にするために。
ところが決め手がない。これではただ生涯を追うだけだ。
最後に残した言葉、「薔薇のつぼみ」これが気にかかる。
で、その言葉の謎をケーンと生前にかかわった人に聞くことで、
本当の映画が動き出すのです。
ホラーが始まるような冒頭から映画の中の映画の紹介。
さかのぼりながら現在までをうまくリンクさせていく、
「羅生門」のようでもあるしサスペンス仕立てで飽きません。
最初の方の雪の中で遊ぶケーン少年が窓の向こうで見える。
それを奥に映し手前で養子(といえば聞こえはいいが)の話をする。
最初の記事にするための映画をうまく使い過去の映画の中に戻るんです。

大きな富を得たケーンが死ぬ間際に握っていたスノードーム。
でもなぜそれが「薔薇のつぼみ??」スノードームは幼いころの雪。
この人は愛情に飢えていることのトラウマで思い出している。
言おうとしてることはスノードームもパズルも同じ、でも違うんですよ。
わかったつもりで見ていたのに急に出てきたのであわてて巻き戻す。
昔の映画はエンディングとオープニングがつながっている。
咲くことのないつぼみ。
けど「薔薇のつぼみ」は女性と思うよね・・
謎解きの映画のようで真実はそこに転がってるもの。
邦題!市民ケーン・・
市民、スノードームの中のおうち、市民、咲かないつぼみ・・
本当は大富豪になって名声を得たかったんじゃなくて、
ただイチ市民の雪の中に舞うおうちの家族のひとりとして、
この人は暮らしたかったんじゃないか・・
洋画の邦題はセンスが悪いのですが、この映画はそのまま見事な答えです。
それを思うと謎解きに一生懸命になってたのを忘れ感動します。
あと別なところで感動したのが、旧友の送ってきた手紙。
これを見てさらにケーンは意地を張るのです。
これも両方の気持ちがよくわかります。
そしてケーンの最後の妻は、実はケーンにそっくりだということ。
夢が叶わないなら叶わせよう、大衆が認めなくても認めだすかもしれない。
旧友の手紙は自分を見透かされるから、
妻を本物の歌手と世間に認めさせるまで続くのです。
それでも薔薇は開かない。お金や夢や言葉でも開かなかったのです。
それが雪の舞う中に埋もれていたのだから・・

アルメイダさん [DVD(字幕)] 9点(2005-04-03 00:51:06)(良:2票)
14.《ネタバレ》 なんて寂しい映画なんだろうと観た後は溜息しかでなかった。"億万の心"など一生理解できない境地ではあるけどストーリーが進むにあたってケーン氏の表情がどんどん濁っていく様がどう表現して良いのか分からないけど「なんとも救いようが無いねぇ・・・」という感じでした。妙に記憶に残ったのはオペラシーンでケーン氏だけが一人スタンディングオベーションで立ち上がり顔から上半身にかけて影の部分に入り表情がまったく見えなくなる構図が他との孤立感を深め人としての感情が薄らいでいく様に見えて無性に寂しさを感じてしまいました。「薔薇の蕾」に関しては私の個人的な解釈をさせていただくと、薔薇の花言葉・・・”愛情”が出てきました。だから私はケーン氏が「私は生まれて幼少時から親元を離れ愛を知らず成長して”つぼみ”のまま一生を終え、ついに”花=愛”を開花させることが出来なかった・・・」と捉えさせていただきました。人は誰しも生まれ持って愛情の”つぼみ”を心に抱いている。それを花として開かせ心から充実した人生を送るか、蕾として感情を閉ざしたまま人生を終えるかは人それぞれだろうか・・・ 。
tetsu78さん 9点(2005-01-16 16:17:58)
13.本サイトの投稿における、映画の点数付け、映画の完成度によって付けるべきものであれば、例えば、『市民ケーン』を10点、『ミミズバーガー』を0点とした数直線上に他の映画を載せて行く、という行為なのかもしれない。しかし私は10点ではなく9点にしました。映画はやはり客観的完成度だけでは語れないから。いや、この映画、映像にはとことん圧倒されたし、しかもミステリー仕立てのストーリーの、このラストの衝撃。観終わって、う~ん、これがあの『市民ケーン』なんだ、さすがだ!と唸ってしまいました。しかし。さすがに不勉強な私でも、本作のスゴさというものは、それまでに何かにつけ見聞きしてきており、観ていても「ああ、このシーンも『市民ケーン』の一節だったのか」などと思うシーンもちらほら。いや確かに、映画を観る前に、その魅力、見どころを知っておくのは、悪いことじゃない。字幕を追ってストーリーを追って、さらに映像を堪能するのは、1回の鑑賞では難しいが、事前に知識があれば、その大きな助けになります。だけど本作ほど映画の魅力が語りつくされ、分析されてしまうと、さすがにどうでしょう。私が映画から一番衝撃を受けるのは、「分析不能の得体の知れぬパワー」。その意味では、本作は、手垢がついてしまい、本来持っていた筈の衝撃力を弱められてしまった気がします。不幸にして人為的に古びさせられた映画、とでもいいましょうか。そう、まるで有力なスポーツ選手ほど、他の選手にマークされ易く、必ずしもトーナメントで優勝できなかったりするかのごとく・・・。本作の映像のスゴさはどこにでも書いている(勿論このサイトにも)ので、今更私ごときが付け足す事もない。ここでレビューを終わってもよいのですが、何だか映画自体について何も語っていないようなので、最後に珍説を発表しておきます。「本作のカメラ、それは写真芸術とは異なる。ショットの中に、空間的時間的(物語的)拡がりが凝縮されている。そう、これはまさにヒトコママンガだ!市民ケーンとはヒトコママンガの集合体なのである!」なんちゃって。
鱗歌さん 9点(2004-08-13 14:22:36)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 200人
平均点数 7.01点
000.00%
121.00%
221.00%
352.50%
4147.00%
52613.00%
62613.00%
74120.50%
82814.00%
93216.00%
102412.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.45点 Review11人
2 ストーリー評価 7.33点 Review15人
3 鑑賞後の後味 7.69点 Review13人
4 音楽評価 6.00点 Review8人
5 感泣評価 6.83点 Review6人
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【アカデミー賞 情報】

1941年 14回
作品賞 候補(ノミネート) 
主演男優賞オーソン・ウェルズ候補(ノミネート) 
監督賞オーソン・ウェルズ候補(ノミネート) 
脚本賞オーソン・ウェルズ受賞 
脚本賞ハーマン・J・マンキウィッツ受賞 
撮影賞グレッグ・トーランド候補(ノミネート)白黒
作曲賞(ドラマ)バーナード・ハーマン候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ヴァン・ネスト・ポルグレス候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ダレル・シルヴェラ候補(ノミネート) 
美術賞(白黒)ペリー・ファーガソン候補(ノミネート) 
編集賞ロバート・ワイズ候補(ノミネート) 
録音賞ジョン・アールバーグ候補(ノミネート) 

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