1.《ネタバレ》 極めてナイスな映画だった。細かいことがどうでもよくなるような大らかな映画だった。
くだらないが、全く下品なところがない。あるいは高級ぶっている映画よりも上品だ。
コメディ映画でありながら、媚びていない。それでいて気が抜けている。そしてよく出来ている。
「この類の」映画は大概心を荒ませるが、本作は違う。
所謂「センスが良い」アピールをする下らない映画とも違う。
どこまでが計算で作られているのか分からないが、大人物の作った映画だということが分かる。
バラエティ番組やお笑い番組を見れば分かるように、本来笑いは神経質なものだ。
そして人を表面的に救い、深層で荒ませる。だから芸術は笑いを避ける。
だが、本当に優れたものは、それを牧歌性の中に包み入れる。
映画という虚栄が無事焼却された後でも、このような映画なら本質的なものとして残りうるだろう。