2.《ネタバレ》 まずオープニングのアーティスティックな紙芝居(?)アニメが素晴らしい。話が始まるとあ、普通の3D-CGアニメなのね、となるが、その世界がデタラメ。その中でも主人公のパンダが一番デタラメ。
個人的に気に入ったのは安直なネーミング。マスター・ファイブの虎が「タイガー」で猿が「モンキー」etc。極め付きに老師がシーフー(師傅=中国語で「先生」)って適当すぎ!。亀のウーグウェイ老師も後で調べてみるとまさに中国語で亀「乌龟(wūguī)」のことらしい。
リアリティラインが自由すぎる世界で展開もやっぱりデタラメなのだが、筋道だけはしっかりとしている。シーフー老師が「パンダ!」と呼んでいたのを名前の「ポ―」と呼ぶ瞬間、最初冷たい(当たり前だ)マスター・ファイブのうち最初にポーの頑張りを認める優しい2人。そしていかにもネコ科の子供らしい、タイ・ランの幼少時代の愛らしさ。あれを溺愛してしまう老師の気持ちがよくわかる。
各動物は極端にデフォルメされているのに質感がリアルで動きもよく研究されている。そしてアクションもドラゴンボールばりにデフォルメされているにもかかわらず、カンフーの動作がきっちり再現されていて確かな重量感を感じる。
一番気に入ったのは親父が主人公に「秘密」を明かすところ。なんでガチョウが父親で息子がパンダなんだ、ずっと感じていた疑問に全然関係ない答えが帰ってくる。そしてそれがまさに全体の鍵となる。
この映画を予備知識なしで観たのでエンドロールでキャストの豪華さに驚いた。話は単純なので、子供に見せるんじゃなかったらぜひ字幕で名優たちの声の演技を堪能しよう。そしてこの映画はADHDの子やその傾向を抱えた人に見てほしいと思う。やらされるとてんで駄目だけど好きなことなら頑張れる、そこに勇気をもらえるかもしれない。