1.《ネタバレ》 「神聖かまってちゃん」というバンド(この映画で初めて知った)を台風の目にして、様々なキャラが描かれる群像劇。群像劇でちょくちょくあるのは、あの場面とこの場面は実はつながってて、このキャラとあのキャラは実は知り合いで、あの場面の裏では、実はこんなことが起きてて、最終的に一つの場所にすべてが集約されていって・・・というパターン。けれどこの映画は、そういう技巧をこらした繋がりが「集約」するのではなく、「拡散」していく、というのが面白かったです。タイトルにかまってちゃんと入れておきながら、かまってちゃんがメインの主役じゃないというのも新鮮でした。それでいて奇をてらっているわけじゃないのも好印象です。音楽が人に与えるパワーなるものが描けていたような気がします。音楽そのものが直接問題を解決してくれるわけじゃないけれど、他人から見れば大したことのない、ほんのちょっとした一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。最後になるかもしれない舞台で一花咲かす。一人で聞いていた音楽を、友達みんなと共有する。失恋を叫び飛ばして将棋に勝つ!(しかもアマチュア) たとえライブハウスにいなくても、CDを直接聴いているわけじゃなくても、音楽のパワーが伝播していくクライマックスは、映画を見てる自分にまで伝わった気がして震えました。欠点を挙げれば、低予算のせいか映像が安っぽい、役者の演技がプロと素人でちぐはぐ、そのせいで演出意図が全面に出てしまってるシーンが多々あること、などでしょうか。けれど、メジャー映画にはない勢いがあって自分は好きな映画です。