1.《ネタバレ》 久々に映画で涙しました。原作は未読ですが、原作者は好きなのと絵のタッチが独特で興味を持ったので鑑賞。本当に見てよかった。
とにかく壮絶です。人食いという現代、特に日本では扱いづらい題材を惜しげもなく前面に押し出し、一人の少年の「獣」から「人間」への変化を見事に描いています。
その様子はまさに悲劇。
主人公のアシュラは愛も幸せも知らず、生きる事だけを必死にやってきました。そんな彼が人と触れ合う事で初めて手にした温もり。戸惑う事は当然のことでしょう。
その事によって産まれてしまった孤独に対する恐怖…そういった小さなすれ違いが段々と大きくなり、最終的にアシュラは再び人を傷つけてしまいます。
人でなしと呼ばれ、蔑まされ、自分自身でも産まれてこなければよかったと叫ぶアシュラの姿を見て涙が止まりませんでした。
それでも彼は自分の大切な人の為に頑張るのです。しかし、それも誤解から認めてもらう事ができませんでした。
これは人の肉ではない、馬の肉だから食ってくれ、死なないでくれと叫ぶ彼に再び涙。とことん救いがありません。
でもこれがリアルなのです、ご都合主義ではないのです。
昨今、幸せに溢れる中で、こういった作品もやはり必要なのだと感じました。
人によって受ける印象、感想は違うと思います。それでも必ず何か受け取ることができると思います。
豪華な声優陣の素晴らしい演技、新しいアニメーションの可能性を生み出した本作に感謝。