1.《ネタバレ》 浅目にみえながら、実は後景の脇役の芝居も抜かりなくドラマ語りに寄与させているという近藤龍人のフォーカスが絶妙だ。
(冒頭のレストランの後方テーブル席、産婦人科の廊下後方のソファなど)
霞が関近辺のインターチェンジのショットとか、地味だが凄い。
佐々木蔵之介を不気味に照らし出し、病室の逆光であってもなお橋本愛を美しく浮かび上がらせ、その切り返しでベッドのリリー・フランキーに
優しく注がせる白光の扱いも素晴らしい。雨垂れの陰影といい、不意に通過する列車の灯りといい、ライティングによる語りの演出が随所で冴え渡る。
病院を抜け出した四人家族は車で夜の繁華街を抜ける。車窓に照り返されるネオンの光芒が、それを見るリリーと重なり合うショットには情感が
溢れんばかりだ。
寄り添って、スピルバーグ的に光を見上げるラストの家族の鳥瞰ショットには条件反射的に感動するしかないだろう。
バリエーション豊かな音を響かせる渡邊琢磨の音楽にも惚れた。