2.《ネタバレ》 この監督の映画は真剣に見ないとだめです。
ところが最初からわからない~!?何がなんだかわからない~(笑
ある技術を使いまくりです。
サブリミナントというのかフラッシュ効果というのか・・
冒頭はまるで違う映画のようなきれいで平和な家族の映像。
これがわりと長い。もちろん白黒ですよ。
それが過去のものとなり現在、質屋の主人はひとりで忙しい毎日をおくる。
アルバイトの男の子が唯一の身近な話し相手(でも心は開かない)
いったい過去に何があり主人はひとりなのか。
家族のうち生き残ったじいさんがいる。
お前だけ残ってと罵倒する寝たきりのじいさんが・・
質屋はユダヤ人で収容所に入れられていた。
その事件とは妻のレイプや子供の事故死・・
全て幸せを奪われ冷酷に金だけを信じる質屋。
市民ケーンと同じにおいがしました。
トラウマって自分ではどうすることもできないものもある。
でも逃げてもいつかは向き合わなきゃならない日が来る。
金が全てだ!
唯一の身近にいるバイトの青年に言うも、相手は信じやすくお人よしだ・・
この展開はうまいけどきついです。
淡々と飾りも何もない映画。
それがグサグサと刺さるのですが、救いようのないラストは、
ある唯一の娯楽によって救われる。
本当に終わったあとすぐにでもこの映画を忘れたくなりました。
あの娯楽の前で終わっていたとしたらね。
あらすじをわかった上で見るほうが深いです。
ラストの娯楽とは映画的な娯楽です。
この終わり方でないと承知しない、くらいなうまい結末です。
痛みがわかるうちは生きるべきなのです。
たとえそれからの生きる道が苦痛であれど、生かされている・・
もう一度自分は生きなければならない。
このラストは実は市民ケーンより感動したのです。
そしてなんと明るくモダンな音楽・・
感動を誘うこともしなければ語ることもない。
なのにこの晴天のようなラストは深い。
惜しむらくはあのフラッシュの使いすぎと、映画の娯楽がもう少しあれば・・
でもやはりシドニー・ルメットは白黒ですね!
救いようのない映画なのですが、
答えは自分で見つけられるという救いがあり見事です。
落ち込んだときにも、もしかしたら本当の救いになる映画かもしれません。
かなり落ち込んだときに、道が開けるかもしれません。
それほど真面目で真剣な映画と思いました。