1.《ネタバレ》 表情の変化すら乏しい、単純なデザインの人形アニメが描き出すのは傷だらけの子供達の姿。
「母親を殺した」ズッキーニが施設で出会う仲間達が親から背負わされたそれぞれの傷(麻薬、殺人、不法滞在、性的虐待)、甘さを決して許してくれない現実。
そして、そんな中でもなお消えない生の輝き。希望や夢やときめき。彼らのその想いが愛おしく。ただの単純な人形なのに。
映画が終わってもなお、みんなのその後に想いを馳せたわ。どうか幸あれ、って。
彼らを傷つけたのは大人達。だからここに出てくる大人達に対して子供達も、そして見ている側も不信感を抱くのね。警官も園長も職員も。こいつは実は、みたいな。だけど、世界には悪い大人もいればいい大人もいる。子供も大人がいなければ生きていけない。
カミーユの叔母、アレが実のところ世の中にいちばん多いタイプの大人かもしれないわ。他人を批判しながらも自らの生き方は決して褒められたものではない大人。
でも、世界は絶望するにはまだちょっとだけ早い。信じていい大人もきっといる。
ズッキーニとカミーユは救済されるけれど、シモン達にはあの施設での日常が続いてゆく。それは辛い事かもしれない。だけど周囲に存在するのは、たぶん、信じていい大人だから。
子供はみんな幸せになる権利があって、大人はみんな子供を幸せにする義務があるの。
これは大人が見て考える深い深いアニメーション。