1.《ネタバレ》 門脇麦と小松菜奈の百合映画なんて、それだけで満点じゃなくて?
なんていう汚れた心にパンチ食らわせながらじんわり癒してくれるような映画だったわ。
険悪なムードで解散へと至るインディーズデュオのハルレオと付き人シマ。ロードムービーのカタチを取りつつ、過去に戻ったり、ファンの姿、ローカルテレビのインタビュー、書きかけの詞なんかをコラージュして、出会いからそこに至るまでのハルレオの姿を浮かび上がらせてゆくのだけれど、この映画、幾つもの矛盾をぶつけてくるの。
全く違うようでよく似ているハルとレオ。儚げだけど強くて、だけどやっぱり弱い二人。頼りないけど頼れるシマ。それぞれがそれぞれを大好きなのに、だからって上手くはいかない、好きなのにどんどん壊れていっちゃう。キビシいようでいて優しい映画。切なくつらいのに、何故か幸せな気持ちになれる映画。
この映画、色々と物語るワリに物語になろうとしないのよね。ハルとレオが出会って間もない頃にハルの家でカレーを食べるシーンでの長回し、その1カットで色んな事が語られるのね。カレーを食べながら泣き出すレオ、頭をハルの肩にもたげ、そのレオの頭にそっと口付けるハル。そこにはふたりのいろんな背景が描かれているわ。でも、それを物語として結実させようとはしないの。3人の最後の晩餐もカレー、そして出発点に戻る、行きて帰りし展開が、だけどそれがきっちり物語として閉じているとは言えないのよね。
※ここからラストについてのネタバレ※
その、閉じなかったラストシーンについては結構否定的な評価を見かけるのね。台無しって。でも、アタシ的にはアレ、つまり物語としての区切りを付けてないだけだと思うわけ。見た人それぞれに想像するでしょうけれど、アタシはあの後やっぱり解散すると思うのね。でも、少しだけ先送り、もう少しだけ3人の時間があってもいいかな?みたいなキモチ、って。まだ3人にはそうしてもいいだけの時間があるんだもの。何かをハッキリ決めなくちゃならないようなトシになるには、まだもう少し時間がある、そういうコトよね。それが青春、青春映画。