5.1998年11月21~24日の4日間、仕事の都合で当時私が住んでいた仙台にもついに『ピンク・フラミンゴ<特別篇>』がやって来た(仙台シネアート2)。観に行くべきか否か、私は懊悩した。私の心には2つの声がぶつかり合う、「映画史の“伝説”を体感しないでどうする!」との“悪魔”の声と、「わざわざ金払ってイヤなもん観る事ないよなー」との“天使”の声。そこで上映最終日、私は極めて合理的・妥当・アタリマエな賭けに出たのだった、「シネアートってどこにあるのか知らんし、映画館探し歩いて、見つからなければ観るのを断念しよう」。仙台の繁華街を(一応)隈なく歩き回った(つもり)の私だが、首尾よく、映画館の所在は突き止められず。「では家に帰ろう」、ここで油断が出た。何をトチ狂ったか、わざわざ用も無いのに仙台駅の東側に足を向けてしまったのだ(繁華街は駅西側)。シネアートが、そこに、あった。覚悟を決めて劇場に入る。上映前にこれほどドキドキしたのも何年ぶりだろう。観客は10人前後(私の前に座っていたオヤジは開始30分程で席を立った)。さて、肝心の映画についてであるが・・・当然ながら実にヒドイ。素人がホームビデオで撮ったかのような、イイカゲン極まるカメラ。そして描かれる内容たるや、口に出すのも憚られる、というか、つい人に話したくなるというか(どっちやねん)、強烈なる愚行の数々。詳しくは書きませんので、未見の方はご自分の目で確かめるか、他の方のレビューを参照して下さい(これだけは言っておこう、この絶妙な半透明ボカシを入れた人は本当にエライっ!)。 さて映画が終わり、ボーゼンと仙台駅前歩道橋を歩く私の目には、これまでと少し違った街の姿が映った。いつも通り、奇抜なファッションに身を包む若者達の姿。だが、ピンク・フラミンゴの世界の人々(ドリームランダーズ)の天晴れな突抜けぶりに比べると、何て安直で半端で「ダサい」んだろう? いや、そういう親父クサイ事は言うべきではないのかもしれない。彼らには彼らならではの文化がある。でも、ピンク・フラミンゴの自由な空気を無理矢理にでも嗅がされた今、「自分達の中途半端さ」を嫌でも認識せざるを得ない。現状打破すべし。自分の中に奇妙なエネルギーが湧いてくるのである。