1.《ネタバレ》 キアロスタミ監督、やっぱりすごいです! 「友だちのうちはどこ?」も素晴らしかったけど、本作は「友だちの~」のクオリティーをさらに凝縮したような名作でした。
大震災の起きた地で、息子とともに少年を探し続ける様子を描いただけなのに、特にドラマティックな展開があるわけでもないのに、観終わったあとの満足感がハンパない! 悲劇や希望を過剰に演出しがちな凡庸な映画とは、立つ土俵が違うといった感じでした。
震災時の様子を、悲惨さ・重さを感じさせずに、でも臨場感たっぷりに伝える。これは映画作品ですが、マスコミの偏重報道よりよっぽど現実味を帯びています。サッカーのワールドカップ見るためにアンテナを立てる人のシーンがその象徴。震災を免れ、これからも生き続けていく人にとって一歩進む力とは、案外こういうものかもしれませんね。
急な坂道を人生に例えたラストシーン、ベタですがいいシーンでした。坂の途中、乗車拒否したおっちゃんが車を押してくれて、次はおっちゃんを車に乗せてあげる。出会った人々同士、心の温もりが感じられれば人生という険しい坂も上っていける・・・。
被災した人への応援メッセージ、こういう方法もあるんだなあ・・・と、あらためて映画の持つ力を思い知らされました。