1.これは中々の掘り出し物。「朗かに歩め」「その夜の妻」に続く小津監督の暗黒街ものだそうです。若い頃の小津さんは本当にチャレンジャーで面白い。ギャングものと言っても銃撃戦はまったくありません。小津監督らしい人情味のあるドラマで最後まで見せてくれます。サイレント時代の小津監督は退屈というものを感じさせてくれません。演出にしても、ジョセフ・フォン・スタンバーグの「暗黒街」をただマネただけではありません。冒頭のタイプライターや落ちる帽子と、細かい部分で凝った演出が見られます。終盤の路地裏のカットも凝りまくってます。さすがに田中絹代だけはミスキャストな気がしますが、それ以外は役に段々馴染んでいく感じ。水久保澄子さんが可愛かった。何故彼女をヒロインにしなかったのか・・・orz
小津ファンには不評との事ですが、私にはかなり面白い作品でした。オススメです。