1.この映画はホラーの名を借りた非情に映画らしい映画である。
いわゆるスプラッタやホラー作品としてみると大変な肩すかしを食らうだろう。
物語はコミカルな部分から始まり、凄残なシーンへと続く。さすがに残酷描写は何度も目を覆うほどのものであったが、それをつき抜けるとこの映画の真の姿が見えてくる。
結局、映画というのは、脚本と俳優の演技につきるのではないか。
なぜ警察が最初コミカルに描かれたか、あるいは、そこまでする必要があるのかと思う拷問は、全て伏線であり、後半、表層的な残酷さが内面の残酷(警察がこだわるメンツなど)へ変わるところから、観客の心情までもが二転三転していく。
主演のアンソニー・ウォンの演技は、もう見事と言うほかない。
今すぐもう一度見たい映画では決してないが、何年かしてまた見たいと思う。