5.カンヌで大ブーイングだった作品。確かに問題作と言われれば否定できない。でもそんなのどうでもいい。あれも一つの表現。この作品ほど評論家って当てにならないって思ったことはないなぁ。なんでこの良さがわからんの?って。あーやっぱりヴィンセント・ギャロは本物のアーティストだ!私は『バッファロー'66』よりこっちが好きです。カメラワークも音楽も必要最低限の俳優陣も魅力的だった。スローな流れだけど、ひとつひとつの場面に深いメッセージが込められている。特典でギャロのコメンタリー付きで見れるのだが、めちゃくちゃ色々学ばせていただいた。彼の感性がすごく好き。クロエ・セヴィニーも大好き。今一番好きなアメリカ人女優。他の女優と全然違う。オーラも違うし、芝居も違う。究極の女優だと思う。大胆な演技とインディペンデントな雰囲気が最高。そんな彼女だからギャロとの波長もばっちり合っていたのだろう。これから見ようとしている人にはぜひ一人で見ていただきたい。誰にも邪魔されずにどっぷりギャロワールドに浸ってください。 【未歩】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-25 20:55:28) |
4.こんな映画を撮るのは、アーティストか馬鹿かナルシストかのどれかだ。そしてギャロはきっと、その全部だ。でも嘲笑うことなんて出来ない。何かを決定的に、恒久的に喪ってみなよ。この映画を単純に嘲笑うことなんて出来なくなるから。彼は“ブラウン・バニー”から一歩も進めない。何て滑稽で、滑稽で、情けない。でも私はそれを、嘲笑えない。 【ひのと】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-02 23:05:03) (良:2票) |
3.自分から見た視点での撮影に引き込まれ、はじめから感情移入ができた。なぜ花の名前の女性だけしか恋をしようとしないのか。なぜ泣いているのか。1回目の鑑賞ではそれがまだ良く分からなかった。皆さんのレビューを見てギャロの私たちに訴えかけてる事が分かった。そして2回目の鑑賞。1回目とは違うギャロの悲しみが増し、涙が止まらなかった。ギャロの映画を好まない人もいるが、私は好き勝手撮っているギャロのような監督が良いのかもしれない。クロエはこの作品のずっと前から大好きです。 【アンナ】さん 9点(2005-03-13 16:17:59) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 テンションの超低いギャロの横顔が続く前半である、退屈なのはしかたがない。あれだけ時間をかけて淡々と描かれた喪失感は他の映画にはない稀な感覚。エンターテイメントからは逸脱している。 おとこは女の死を受け入れることが出来なかった。狂人一歩手前まで苦悩しのた打ち回った。ある日の夜のホテルにて、自分の中の女と真正面から向き合い、ついに想いを断ち切った。いや、断ち切れたのかな?断ち切れるもんなのかな?そんな煮えきれない余韻。決して僕はあんな境遇に陥りたくはない。そのためにも僕は頑張りたいと思った。 |
1.《ネタバレ》 賛否両論ある映画らしい。もっともだ。作品としてはどんなものかと思う。あまりにも淡々としたシーンが多い。退屈に思う人がいても仕方がないと思う。でも私は、全編ギャロが自己を切り取ってどうしようもない悲しみを投げつけてくるこの映画に見入ってしまった。何よりも大切な人を失って立ち直れず、苦しくてもがき、「この人ならもしかしたら…」と花の名前の女性にすがる。そしてすぐに思い直し、一人で涙を流す。街角の娼婦ローズをいったん断ったあと、「もしかしたら…」とアクセルを踏み彼女の所へ車を飛ばすシーンは、バドの気持ちがインスパイアして胸をかきむしりたいようだった。空き家のドアを叩いたり、ホテルのフロントにいちいちメッセージを入れたり、狂乱ともとれる行動。そして幻との交わりと会話。ギャロはいったいどんな苦い思いをして、こんな映画を作る気持ちになったのだろう。「あなたじゃなきゃ嫌なの」って、もう一度言って欲しい人がいたのだろうか。私自身、大きく欠けた心を埋める術がなく、このまま自分が消えて無くなるような感覚を味わったことがあり、覚えある痛みを噛みしめながらエンドロールが終わるまでじっと座っていた。見て良かったとも、いや見なければ良かったとも思う複雑な心境。色々な意味で「問題作」として私の心の中に居座るだろう。 【のはら】さん 9点(2004-04-10 22:39:25) (良:5票) |