1.《ネタバレ》 全体的にとても暗い。
この作品には妙な静けさ、暗さがあって、それがとても不気味でもあり魅力的でもある。
ドラキュラ、ノスフェラトゥという言葉を聞いただけで十字をキり、言葉にすることでさえ慎まなければならなかった。
それだけドラキュラって不吉で恐れられる存在だったんだね。
ドラキュラ伯爵べラルゴシがホントに不気味!
ドラキュラ映画の中で、一番不気味なドラキュラ役を演じているかも。
表情がぜんぜん普通じゃない。
異様な眼光を放ち、不気味な笑顔でこちらを見つめる。
ただそれだけで、何もしなくても怖い。とても威圧感がある表情だ。
(ドラキュラ伯爵は一見すると普通の人間のようで、人間と普通に会話しているが、実はそれが一番怖いのかもしれない)
ドラキュラ城で伯爵がゆっくりと階段から降りてくる場面はとても変な深い静けさがあり、
その場面で、時が止まったかのような不思議な空気を感じた。
それがとても静か過ぎて不気味。
ドラキュラ城の高い天井と、背の丈ほどもある暖炉、雰囲気がとても見事だ。
誰もいない城で動物が徘徊したりと、とても幻想的な雰囲気を感じた。
とても暗い影ができていて、深い闇がこの城全体を支配しているように感じた。
窓の外で蝙蝠が飛ぶ場面がとても美しかった。
3人の女性がこれまた不気味で、魂が抜けたような感じ。
無表情な3人が全く同じ動きをするのはとても不気味というかシュールな感じで面白かった。
船室から発見されたレンフィールドの笑顔と笑い声はまさに狂気としか言いようのない凄まじさだ。
館で笑うレンフィールドを見た召使が気絶しちゃう場面も凄かった。
ロンドンは霧が立ち込めてとても重く暗い感じが出ていた。
蝙蝠がとても不気味な存在感で、変な重みを感じた。
ただ飛んでいるだけでとても異様な感じがした。
テンポが悪いかもしれないけど、それを補う雰囲気がこの作品にはあると思う。
ドラキュラ伯爵とミナとの関係を見ているとロマンチックにもみえてくる(のは僕だけかな?)。
もしかしたらドラキュラ映画は「美しい」よりも「暗い」ほうが好きかも。
でも「暗い」の中に「美しい」があって、「美しい」を前面に押し出しちゃいけないのかも?
地下室は暗くて美しいし、最後の階段の場面も美しい。