1.《ネタバレ》 2014年の大晦日を迎えるのと時を同じくして、“叛逆”の物語を観終える。
しまった。一年間の大詰めのこのタイミングで観るにはあまりにインパクトが大きすぎた。
主人公の神々しいまでの「慈愛」をもって、“正義の味方”の根本的な存在性を守り切って終幕したテレビシリーズからの[新編]。
それに「叛逆の物語」と銘打った理由が明確になったとき、あまりに悲しく予想外な展開に対する衝撃と共に、この物語世界の本当の主人公が誰であったかということに気づき、“彼女”の希望と絶望の真理を思い知る。
あまりに残酷、あまりに悲壮、そのストーリーテリングと表現方法は、もはや狂気の沙汰と言って過言ではない。
しかしそこに物語の展開的な理不尽さは無い。テレビシリーズの最初から、この顛末に対しての布石は確実に打たれており、必然性を着実に育んでいた。その物語構成が本当に見事過ぎる。
思い返してみたならば、“彼女”は一度も「正義」のために戦ったことはなかった。“彼女”が戦う理由は、終始一貫ただ一つだけ。
ただ一つの戦う本当の理由を失い、それでも一人“記憶”を持ち続けて戦いの場に身を投じるしかなかった悲しき魔法少女がダークサイドに落ち込むことは、むしろ必然だったろう。
「残酷」の更にその先に存在した、狂おしいまでに純粋な愛と、それに伴う純粋な闇。
着地した場所は、「暴走」と「破滅」がもたらしたまったく新しい世界。
それは、正義や秩序とは程遠い偽りの世界。
けれど、深淵な闇そのものとなった魔法少女の“魂”を否定することなど誰も出来ない。
もし彼女を救うことができるとしたならば、それはやはり……。
この物語は、光と闇に等しくまみれた最高のエンターテイメントだ。