3.《ネタバレ》 でいでいでいでいっ。サンデーマンデーてやんでい。
面白いっ。
クドカンという人は外見が果てしなくショボイのであるが、やはり才能ある人の例に漏れず、己の見た目などに構わず余分なエネルギーを全部クリエイトに回しているタイプだったのだなあ、と再認識。
原作のマンガについては未読だが、傑作であるとの批評は目にしていた。
しかし、クドカンが脚本のみならずメガホンまで取らなければ、よくある陳腐な作品として忘れられていく凡作になったであろうまちがいなく。そのくらい、「俗」に流れずにシュールに笑わすのは難しいと思う。
長瀬については1%も期待していなかった私だが、冒頭から「てやんでい」の切れの良さに感心しきりとなる。おお、長瀬、悪くないかもよ。長瀬にこんなに突っ込みの素質があったとは意外だ。地蔵突っ込み、コダマ突っ込みなど、いずれも悪くない。
そして、なんと「明治天皇(ラストサムライ)」から「ホモで薬中の金髪」へと大変身を遂げた七之助。すでにその役柄の落差だけでいかにもシュール。
ジャニーズと歌舞伎がホモの恋人どうしで絡み合っているという、有り得ないシュールな光景はこの映画ならではなり。ヘタウマの絵や「おまえ」「おいら」「ゆかた」などの殴り書きもばっちり合っている。
私は、日本人はブラックな笑いを作るのが下手だと思っているけれど、クドカンについては全くそんなことはない。クドカンはすごい。これを見た松本仁志は嫉妬にかられて初メガホンを取ったのではないかと私は思う。まちがいなく松本のライバルは北野武ではなくてクドカンである。
「何がリアルか」「リアルには自分の思い込みが入っているのではないか」「思い込んだらそれは現実か」という深遠なテーマに沿って、次から次へと有名人が登場しては笑わす。これはこたえられない面白さだ。ぜひともクドカンのすごさを堪能してほしい。
ひとつ残念なのは、これだけ有名人を出しているのだから、バーテンはぜひともクドカンとも親交のある及川光博にしてほしかったところ。こういうチョイ役よくやってるのになあ。忙しかったのかなあ。
とにかく面白いです。イケてます。イチオシのギャグはナカムラ父の「夜でもアーサー」。