17.《ネタバレ》 今までずっと見たかった映画ではあったが、リメイク版2作と東宝で作られた日本版2作を既に見ていることと、80年前の特撮がいかにも古臭そうな印象だったため、なかなか手が出ずにいたが、そんなことを考えるのがバカバカしくなるほど素晴らしい映画だった。登場するキングコングや恐竜たちはストップモーションでリアルに表現されていて、恐怖感もちゃんと出てて、もうそれだけで感動的だし、着ぐるみやCGによる特撮と違ってストップモーションによる特撮は見慣れていないが、トリック撮影初期の段階でここまでのものができていたとは。これが円谷英二監督などのちの特撮映画の製作者たちに与えた影響が大きいことは有名な話だが、実際に見てみてなるほどと思わされた。リメイク版は2作ともヒロインのアンが徐々にキングコングに惹かれていく展開があり、本作でもそうだろうなと思っていたのだが、それがなく、アンはキングコングに対してひたすら悲鳴をあげるのみというのがビックリした。だが、それがかえってリアルだ。ドラマ性を極力廃したシンプルな構成なのも良かったが、それでもアンを抱えてエンパイアステートビルに登ったキングコングが無残に殺されてしまうという結末はやはり初代である本作から既にどこか哀愁を帯びていて印象に残り、なにかやるせなさを感じさせる。そしてなによりもやはり当時はゼロに近い状態から始まったに違いない怪獣のリアルな表現という命題に果敢に挑戦しそれを見事にやってのけたスタッフたちはまさに賞賛されるべき偉業を成し遂げていて、きっと裏で大変な工夫と努力と苦労があったことは想像にかたくない。また、ここから今につながる怪獣映画の歴史が始まったのかと思うと感慨深いものもある。怪獣映画が大好きな自分にとっては10点以外はつけることができない。本当にもっと早く見ればよかったと見終わって素直に思ってしまった。 【イニシャルK】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-11-12 14:10:02) (良:2票) |
16.《ネタバレ》 無駄のない構成に感服。まずスカル島に到着するまでの序章がテンポよい。ジャングル映画監督の特異な性格が示され、運よく不遇の美女タレントがスカウトされ、恋を知らなかった荒くれ船員が美女と恋に落ちる。次に原住民との遭遇⇒美女が原住民にさらわれる⇒コングが美女を連れ去る⇒美女奪回のため島の奥地へ⇒恐竜との遭遇⇒コングと恐竜達との壮絶バトル展開⇒美女奪還⇒コング捕獲と休む暇がない。ここで終わっても冒険物語は成立する。当時流行していたジャングルもの、南洋ものと呼ばれる小説や映画の多くがそうだった。本作は、このあとコングをニューヨークに連れていくことで名作となりえた。「コングを見世物にして金儲けする」という人間の欲望、これを描くのにニューヨークはぴったりの街である。自然との調和を忘れ、欲望に溺れ、堕落した人間達に、神の使いであるコングが天罰を加える。経済発展を謳歌していた米国で世界恐慌が発生した直後の制作で、コングは当時の人が無意識に持っていた罪意識の象徴として映ったのに違いない。これが現在にも通じることで、今でも色褪せない理由の一つがここにあると思う。美女を取り戻したコングは高層ビルの天辺に避難する。だがそこに安住の地はない。文明の利器である飛行機と機関銃が襲い掛かる。スカル島では怖いものなしだったコングもこれには勝てず、墜落死する。人間を襲った罪として、今度はコングが罰せられたのだ。欲望とそれを律する心のせめぎあいを見事に表現している。もう一つの主題は恋愛という不思議さ。いくらコングが美女を愛しても、その愛が報われることはない。コングは美女の守護者であると同時に永遠の失恋者。美女に恋しても相手は振り向いてもくれない経験を持つ男性は多い筈で、身につまされる。野獣のコング相手に感情移入できる所以だ。失恋男の哀れさが憐みを誘う。美女に惚れなければこのような悲劇は起きなかった。「飛行機ではない、美女が野獣を仕留めたのだ」の詞は的を得ている。副題の「the eighth wonder of the world」はコングであり、恋愛である。鑑賞後冒頭の諺がしみじみと想起された。「預言者曰く。見よ、野獣は美女の顔を見て、殺そうとして伸ばした腕を止めた。その日以来野獣は死んだも同然となった」野獣でさえもこうだ。どんな人間でも美を愛でる優しさ、人間らしさを持つ。コングよ安らかに眠れ! 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-07-01 01:27:53) (良:3票) |
15.《ネタバレ》 いや、嬉しい。まさかこんなに出来の良い猿映画に いや、モンスター映画に今さら出会ってしまうとは。 76のキングコングには特別な思い入れがあってアレだったのですが、そんなこと言ってる場合と違う。とにかくこちら 33のキングコングの出来はスゴイ! しかし、思うにニューヨーク 〝登るな危険!〟とか 〝ポイ捨て禁止〟とか〝飛び出すな 電車は急には止まれない〟だとか、まだあの時代にはそんな標語が出来て無かったんだろうね かと言って、例え街角にそんな標語が貼ってあったとしても それを読む読まないはコング次第。 きっとそんなの読んでる余裕って無かったでしょうね きっとあの時、彼って〝フェイ・レイ〟〝フェイレイ〟って必死のぱっちで フェイレイ病だったから。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-12-27 22:11:22) (良:3票) |
14.《ネタバレ》 キングコング、凄いです。恐いです。他を寄せ付けない圧倒的な強さ。倒したティラノサウルスの口をパクパクさせて死を確認するなど、行動の端々に表われる用心深さ、執拗さ。そしてアンの叫び声を聞けば、どこへでも飛んでやって来る美女に対する想い。ストーリーも良いです。執念深く追いかけて来たコングのエンパイア・ステート・ビルでの最期。島の王者も文明の利器にはかなわなかったのを、「飛行機ではなく、美女に殺されたんだ」と言うのも洒落ています。サービス精神も旺盛ですね。ティラノサウルスにステゴサウルス、アパトサウルス?(何故か肉食)、プテラノドン、大蛇?(手足付き)まで登場し見所満載です。髑髏島の造型も秀逸。白黒のぼやけた感じも手伝って遠方が良く見えないのが異世界の雰囲気を醸し出し、随所に見られる円形を取り入れた構図が素晴らしいです。さらに余計なシーンは全て省いてしまっているので、実にテンポが良いです。恐竜を含むモンスター映画の中でストーリーも含めれば、この作品が最高峰でしょう。映画館で観たいと思える作品です。 近々ピーター・ジャクソン監督のリメイク作が公開されますが、私はかなり期待しております。ですがそれと同時に裏切られる事も覚悟しております。名作のリメイクは難しいものですからね。 《追記》やはり残念ながら期待していたものとは違いました・・・。映画「キングコング」(1933)は文明にもけっして負けません。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-02 18:19:03) (良:2票) |
13.《ネタバレ》 キングコングの表情が怖い。あまりにも豊な表情を見せてくれるコングだが、悲しい表情、怒りの表情、どのような表情を見ても恐怖を感じる。ジュラシックパークのヴェロキラプトルだろうがハンニバル・レクター博士だろうが貞子だろうが今まで映画やテレビに出てくるようなキャラクターを見て怖いと思ったことは一切、ただの一度も無かったがこいつは怖い。怪物映画としてそう思わせられたことはそれだけで10点に値する。話自体もテンポよく風刺の効いたストーリー。センスが極めてよく、そして欠点が無い。1933年でこれは無いよなあ…それにしてもこの怖さは何だろう。何か潜在的なモノな気がする。母親に似てるとか…いや、キングコングの中に人間が投影できうるからこその怖さだろう。外部からやってきた何か強大な力によって拘束され、盲目に信じる物、愛する者を追い、都会の中で迷い、そして死んでいくキングコングの姿は、ある意味、理不尽な世界の中で迷い続ける人間の人生の縮図なのかもしれない。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-17 05:12:19) (良:2票) |
12.愛は盲目・・・コングさん、まったくフェイ・レイしか見えていない(笑)。よってレイ点。んなわけなくて満点です。ラストで傷ついた左胸に手をあてていたのは、きっとハートが痛んでいたのでしょうね。しかしこの時代にこれだけの特撮技術が完成しているとは・・・。プロジェクトX海外バージョンでも作って、是非取り上げてもらいたいな~、「その時オブライエンは・・・」「レイは毎日叫んだ」てなナレーションが聞こえてきそうです。てなことはさておき、コングのモーションはリアルに、エモーションはちらりと描いています。コング初登場シーンでの愛嬌ある表情は、見ている者にコングへの愛着を少しだけ許し、その後のならず者ぶりで突き放し、さらにその後の盲目ぶりで、文明社会の被害者のように見せかけて実はなりふり構わぬ色欲狂じゃないのか、と思わし、コングへの過度な感情移入を許さぬ構成が、名作として普遍性を獲得しておるのでしょうね。まさにキングな映画です。 【彦馬】さん 10点(2004-11-13 23:52:51) (良:3票)(笑:1票) |
11.《ネタバレ》 「美女が野獣を殺したのだ」この一言で物語の幕は閉じる。恐竜だらけの天国に住んでいたのに、美女に惚れて追いかけて捕まった挙句見世物にされてしまうコング。小学校一年生の頃に、「キングコング対ゴジラ」の元ネタだと親に教えられてみました。一発で虜になってしまいました。コングの躍動感はもちろん、銃で撃たれて突進してくるステゴサウルス、縄張りを荒らされて人間を噛み殺すアパトサウルス、蛇なのか首長竜なのか分からないマンダもどき、プテラノドン!皆キャラクターとして生き生きしており、格好良い。ラスト、セスナ機との戦いで傷つき、死の直前、ヒロインを見つめるコングの顔が今でも目に焼きついています。 【クラウン】さん 10点(2004-07-02 19:00:24) (良:2票) |
10.「ピーター・ジャクソンがしくじったら、思いっきりぶん殴ってやれ、コング!」「ガルル(わかってるぜ。あの二人以上にぶっ飛ばしてやる。)」「そう言えば、最近ギラーミンとラウレンティスを見ないぞ」(キングコング76’に続く) 【パセリセージ】さん 10点(2004-06-22 20:50:26) (笑:1票) |
|
9.モンスターパニック好きや冒険映画好きにはかなりオススメ。俺、白黒で昔の映画やから絶対しょぼいと思ってたけど、やっぱ名作って時代を超える力があるんやね、これ、今観ても十分おもろい、ていうかおもろすぎ。今の映画にありがちな無駄なダラダラした展開なんてなく、最初はちょっと人形っぽいモンスター達も観てるうちに、ほんまに生きてるような感じに見えてくる。CGなんてなくても、こんなに迫力ある映画が作れてまうんやけど、ま、それも古典というノスタルジックな感覚がそう見せるのかもしれん。もし、今同じように作ったとしても多分おもろないから。古いからこそおもしろい、白黒やからこそ味がある、でもそーいう映画の中では飛びぬけておもしろいとは思う。ちなみにハリウッドにあるユニバーサルスタジオでは、トラムっていう乗物があるんやけど、それでキングコングに襲われる体験ができる。これが迫力あってなかなかおもろい。この映画は最近観たんやけど、なるほど、あの場面があのアトラクションなのかと後で知った。この映画観てから乗ったほうがもっとおもろかったかも。また行ってみたくなったわ。残念ながら日本のUSJにはないんねんなー。ぜひ作ってほしいっす。 【なにわ君】さん 10点(2004-04-17 15:10:07) (良:2票) |
8.今からちょうど70年前の作品ですよね。う~ん、もうびっくりを通り越して感嘆するばかり、、CGもなく46センチのミニチュアモデルの人形と張りぼてで、これだけの映像が作られたというのがすごい!まさに映像マジック!!ドクロ島での各種恐竜との戦いはジュラシックパークにも引けをとらないリアルさ。クネクネ動く恐竜のしっぽなんぞとても人形とは思えない。翼竜まで登場するこの映画は一連のスピルバーグの恐竜映画の元になっているに違いない。それだけじゃなく、たいていの怪獣、ゴジラなどのおおもとがこれなんでしょう。コングの表情が非常に良くできていて、美女を見てにやりと嬉しそうだったり、怒る顔、エンパイアステートビルのてっぺんで飛行機に攻撃され負傷して悲しそうに傷を見たりと、とても人間くさかったりして面白い。恐竜をやっつけて、死んだかな?と首をゆすってみたり口を開けてみたりと芸が細かく愛嬌もあっておかしい。今見ても驚くのに、当時リアルタイムでこれを見た人々の驚きはどれほど凄かったことだろう。コングは確かに大暴れして悪役だが、だいたい孤島に暮らしていたコングをニューヨークにつれてきて、金儲けの道具にしようなんて考えるからこんな大騒ぎになったんで、コングの最後は哀れにも思う。今もこのコングはユニバーサルスタジオにあるそうです。 【キリコ】さん 10点(2003-11-30 15:58:26) (良:1票) |
7.日本に“怪獣ゴジラ”あれば、海外に“巨獣キング・コング”あり! その強烈な個性と圧倒的な存在感、両者とも一歩も譲らない。まさに特撮映画の金字塔にして、記念碑的な映画作品。本作が世に出なければ、後の“ゴジラ”はもちろん、円谷英二やレイ・ハリーハウゼンも映画人として世に出なかったかも知れません。 初見は遠い遠い子供の時なんですが、そりゃもうワクワクドキドキものでした。ドクロ島の上陸シーンから俄然盛り上がり、野性味溢れるコングの登場はもちろんのこと、ティラノサウルスや大蛇との格闘シーンなど見せ場も数多く、特撮の古典が存分に味わえる。そして言うまでもなく、文明の象徴ともいえるエンパイアステート・ビルの頂上で繰り広げるシークエンスは余りにも有名かつシンボリックで、美しい人間の女性に心奪われた巨獣の悲哀を見事描き切っている。 【光りやまねこ】さん 10点(2003-08-23 23:26:02) (良:1票) |
6.凄い、の一言。制作時の時代背景を併せて反芻した時、震えさえ覚える。技術的制約のモノクロ画面も、図らずも、の不気味さを醸し出すのに一役買っている。リメイク版よりコングの顔が間抜けなのはご愛嬌。隙の無い展開に、思わず何度も観たくなる。DVD欲しい。 【ぽろぽろ】さん 10点(2003-06-27 15:38:08) |
5.リメイク後、20メートルになって復活したコングだが、この作品では5メートルである。確かに派手な都市破壊などは望めないのだが、5メートルと言うリアルに想像できるサイズが現実味をかもし出し、またヒロインとのドラマをスムーズに流していた(何十メートルもあるとコングの視点からヒロインの顔を見分けにくいからね)。人形アニメーションによるコングや島の恐竜の動きは、カチカチしているものの、何か強烈な緊迫感があった気がする。コングを攻撃するのが複葉機と言うのは時代が感じられ、臨場感は頂点に達する。そして、人間を愛したがために人間に殺されるコングに、人間に滅ぼされてゆく生き物たちの姿を見た・・・・・。 |
4.小学5年生のころだったろうか。テレビでこれを見たときの衝撃と胸の痛さはまだ覚えている。そりゃコングは悪いさ。乱暴だし抜け目ないし。人から見たら脅威そのものだよ。でもどうしてあんなに人間にやっつけられなくちゃいけないの?ただ人と同じように人を愛しただけなんだよ?そんな想いがぐるぐる回って、見終わった後一人自室に戻りぼろぼろ涙をこぼした。素晴らしい映画の一つだと確信している。 【いかみみ】さん 10点(2003-02-28 08:55:42) |
3.リメイク版の存在を認めたくないくらいに、このオリジナル版は素晴らしいです。今までリメイクされた作品は数多くありますが、どの作品にも、やはりいちばん初めに創られた“先駆”にこそ大きな価値があると思いますねぇ。例えば『ベン・ハー('26)』『キング・オブ・キングス('27)』『邂逅=めぐりあい=('39)』など…。ラストの「美が野獣を射止めたのだ」という、“コングなど死んで当然”とも受け取れる冷たさを感じる言葉以外は、ボクにとっては言うことなしですが、ご覧になった皆さんはどうお感じになるでしょうか。でも、この作品に対する想いの強さは初めて観たときから全く変わっていません。ボクがクラシックにハマる切掛をくれた大切な作品です。 |
2. 丸木橋を渡る探検隊を揺すって谷底へ落とすイヤらしさ・辛うじて崖の窪みに難を逃れた一人を手を伸ばして捕まえようとする執拗さ・ヒロインと男がロープで脱出しているのに気づき、ロープを手繰り寄せる執念深さ・原住民の村を襲い、噛み付くわ足で踏み潰すわの狼藉し放題・就寝中の女性をヒロインと間違えて掴み上げ、人違いと気付くやポイとビルから投げ捨てる無情さ!もう、こんなに目の行き届くイヤらしいモンスターは他にいないと断言!等身大ならいざ知らず、アノ巨体にコノ注意力はもう反則。襲われたくないモンスターとして私の中では不動のベスト1に君臨しております。 「コング」全編中の白眉と言えば、誰もがあのエンパイアステートビルに於ける複葉機との戦いだとお思いでしょうが、私に言わせれば髑髏島での恐竜たちとの戦いに次ぐ戦いには遠く及びません。中でもT-REXとの死闘は屈指の名場面であり、個人的にはコレを凌ぐバトルにはその後お目にかかった例しがありません!公開から70年が過ぎようとしていますが、どうにも「コング」を越える作品には巡り会えそうにないですね。ウィリス・H・オブライエンよ、永遠なれ! 【へちょちょ】さん 10点(2002-12-17 01:47:49) (良:4票)(笑:1票) |
1.世界SFX映画史上のモニュメントで、まさに怪獣映画の元祖。南海の島での恐竜や翼手竜との凄まじいバトルに、この時代公開された作品を目の当たりにした観客たちが、さぞかしド肝を抜かれたであろうことは、想像に難くない。人形アニメというコマ撮りによる怪獣たちの動きのぎこちなさが、かえってもの凄い迫力を生む。エンパイア・ステートビル上での複葉戦闘機とのスリリングな戦いの果て、落下していくというシーンはやはり歴史的名場面で、胸に被弾し傷を負ったときのしぐさや、ヒロインに心底惚れ込んでしまったような表情がなんとも人間臭く哀れを誘う。 【ドラえもん】さん 10点(2001-03-09 14:24:02) |