2.過去3回寝て、4回目にしてやっと最後まで鑑賞。
思えば王家衛の「楽園の暇」でも5回程寝てしまった私。
どうも王家衛×武侠映画は私にとって鬼門のようだ…。
前述の「楽園の暇」の例があるので、あまりカンフーには期待していなかった私。
その予感は的中し、やはりアクションよりもドラマに重きを置いた作品だった。
いい意味でいつもの王家衛映画。
一見さんお断り。というのは冗談だが、かなり敷居の高い作品である事は間違いない。
冒頭、雨の中の格好いいアクションが展開されるが、それはスピーディーなカット割とスローモーションを多様した何処まで本気かわからないアクションシーンだ。人によっては映像でごまかしただけのこけおどしカンフーだと揶揄されるかもしれないだろう。そういう本気のカンフーを求める方はこの後の展開で眠る事が予想されるので注意されたし。
格好いいアクションシーンが終わると、今度は淡々とイップマンの語りが始まり、ドラマが展開されていく。トニー・レオンのナレーションを聞いている内になんだかこれは「2046」なのか?という不思議な感覚にとらわれた。カンフーの達人というよりもいつもの王家衛映画に出てくるトニーと重なってしまった。なんだか音楽や屋上で佇む女などのカットが「2046」を思わせる所があった。
これまで散々1960年代にこだわって撮りつづけてきた王家衛だが、今回は1930年代から1950年代の激動の時代を描く。
いわばこの作品を原点として「欲望の翼」や「花様年華」へと繋がっていくのかもしれない。