1.《ネタバレ》 一歩外に出ると女の尻しか眼に入らない極めて健康なオヤジである自分としては、ヒジョ~にリアリティのある作品。実際何度か訪れたディズニーランドでも当然前を行く尻の大きな女しか見ていなかった。あの性的抑圧と倒錯バイアスが強烈にかかる場所では著しく性欲が増大してしまうのだ。ホントはあなたもそうでしょ? 舞台を架空のテーマパークに設定するような逃げをうたず、ゲリラ撮影で一見無菌に見える夢の国の毒を描く監督の志は、ハリウッド的定型内に収まって安閑としている凡百の制作者達にはおよそ考えられないほど高いものだ。ロケ場所をディズニーランドに限定しながらドキュメンタリーではなく、完成まで全て秘密裏に進めた苦労を知ると本当に頭が下がる。役者も無名ながら驚くほど上手い。音楽も良い曲ばかり。監督が残念がっている稚拙な合成処理も変性意識を感じさせて結果オーライ。ここまできっちりやるとさすがのうるさいディズニーも納得するのか、訴訟は起こしていないようでソフトも普通に売っていて大変めでたい!ひとつだけ残念なのは(例によって)主人公の好み。彼はどうしてあんな痩せた女を追いかけ回すのだろう。二人とも肉体的にあまりにも未成熟で〈若い・今風美人〉という記号しか感じられない。彼女達がティンカーベルとなってそのラストを飾るが、ティンクは成熟した女の象徴だ。よって絶対にばーんと腰の張った安産型のグラマーなタイプでなくてはいけない。これはピーターパンという暗喩に満ちた物語の大きなポイントのひとつなのでいいかげんに扱われては困るのだ。変態ウォルト・ディズニーはその点はしっかり押さえていた。R15指定でエロがテーマの本作よりお子様向け本家アニメのティンカーベルの方が数段エロいというこの矛盾。笑える