1.早川雪洲はこのパラマウント作品により、ハリウッドのトップスターになった。日本人は同族の欧米での活躍に冷淡(野茂以降は少しマシになった)だが、1910年代の雪洲は、チャップリン、フェアバンクスと並ぶトップスターであったたことを忘れてはならない。ヒシュル鳥居という冷酷な日本人は、観客の度肝を抜き、当時としては破竹の全米興収300万㌦を挙げた。今でいえば5000万ドル級の大ヒットであり、劇場数の差を考えれば、みんな映画館へ行った、くらいの勢いだったのだろう。反日的だとして日本では公開できず、日英同盟を考慮してイギリスでも上映しなかったこの傑作は、しかし今日「永久に保存すべき映画」に指定され、デミルの初期傑作と認められている。映画好きならば絶対に見るべき作品。雪洲は「戦場にかける橋」の演技が最高なのではありません。80年前のこの作品がベストアクトです。