1.《ネタバレ》 素晴らしい!キャサリン・ヘプバーン演じるジョセフィン・マーチは正に原作者ルイザ・メイ・オルコットそのものだ。溌剌とした彼女が(吹き替えナシで)走り、踊り、歌い、階段の手摺を滑り、木の枝にぶら下がり、窓から壁伝いに降り、柵を飛び越える!!そこらのアクション男優も裸足で逃げ出さんばかりの熱演だ。それだけなら単なるお転婆娘の騒々しいドタバタに終わるトコロだが、姉メグの恋する姿に当惑する表情やロウリィの求婚を退ける場面での何とも言えぬしおらしさによって勝気なジョーの揺れ動く心情が活写されている。上手い。流石に女優の演技指導の上手さでは定評のあるキューカーだ。しかもキャサリンの一人舞台にはさせない、とばかりにジョーン・ベネットのエイミー、ジーン・パーカーのベス、フランセス・ディーのメグ、いずれも存分に持ち味が引き出され実に活き活きとしている。それでもストーリーの骨子がジョー中心になっているのは本来、原作者オルコットを投影したキャラクターがジョーだからであり、キャサリンの”女優魂”がキューカーの演出によって最大限に開花した故であろう。ここにも又、演出と役者の幸福なる二人三脚を見る思いがした。オルコットの名作は今後もリメイクされるかもしれないが、監督の技量と女優のクオリティの点で恐らくこの33年版を凌駕する事は不可能だと(個人的に)思う。当然ながら10点満点!で御座います(笑)。