24.《ネタバレ》 映画ファンを名乗りながら今更「エレファント・マン」を見ました。恥ずかしながら私は「どうせファンタジーみたいなおとぎ話でしょ?」って今日まで思っていました。 デヴィッド・リンチ作品といえばやはり名作(迷作?)「イレイザーヘッド」が思い出されますが、本作もモノクロで時折イレイザーヘッドを思わせるようなシーンもあって意味深な気持ちにさせてくれます。また、壁の絵や一つ目の頭巾などの雰囲気もとても素晴らしく、序盤から映画に引き込まれる演出はなかなか素晴らしいです。エレファント・マンことジョン・メリック(ジョン・ハート)の半生を綴る本編は基本的にリアル志向で無理な描写がありません。むしろ的確に彼の心理描写を作品に落とし込むことに注力しているようで、物語の進行もドラマチックというよりは淡々とした印象でした。 やはりトレーヴェス博士(アンソニー・ホプキンス)と彼の妻(ハンナ・ゴードン)、舞台女優のケンドール夫人(アン・バンクロフト)、婦長(ウェンディ・ヒラー)らが優しくて目頭が熱くなります。対するバイツ(フレディ・ジョーンズ)や夜警の男(マイケル・エルフィック)らの仕打ちは極めて残酷で、こちらは違う意味で目頭が熱くなります。いじめのシーンは容赦がなく見ごたえ十分ですが、ここでもメリックは告げ口をせずこの人物の人の好さがにじみ出ます。奇形者の見世物興行のシーンは痛々しく描かれていますが、実際には和気藹々と人気者街道を歩んでいたようで、彼のIQの高さとポジティブ思考、そして人の好さで意外ときちんと過ごしていたことが伺えます。(映画ではそう描かれていませんが) この映画のクライマックスはやはり駅で叫ぶシーンだと思います。「僕は象人間じゃない、これでも人間なんだ」”これでも”という言葉が涙を誘います。とにかくメリックの人柄が素晴らしくて、神様は心底残酷なことをなさると感じた映画です。この後に配置されている劇場のシーンでは、、演者でなくメリックのほうがスタンディングオベーションを受けますが、これもなかなか泣かせるシーンに仕上がっています。 ある程度事実に基づいているようですが、映画版のラストは非常に素晴らしいです。頭が大きすぎて横になると窒息の懸念がある彼が「いつかは普通の人のように横になってベッドで眠ってみたい」という願望を実践、そのまま亡くなってしまったであろうラストカットが素晴らしい。ストーリー上は安住の部屋を与えられ、友人には人並みに扱われ、初めての演劇で高揚していたようで、普通にベッドで眠ろうとする彼の仕草が本当に健気で泣けます。(演出上は亡くなったかどうかは不明ですが、”横なって寝てはならない”という伏線から考えると亡くなったと考えたほうが自然) 「もしも自分が化け物のような外見だったら?」と思うと生きた心地がしません。五体満足で身体の各部位が正しい位置についているだけで幸せだし、コンプレックスなど些細な事だと感じられる映画です。多少事実と異なる点はあるものの彼の心情がとても良く描かれていて素晴らしい作品でした。一生に一度は見ておくべき名作。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 10点(2024-11-19 16:41:42) 《新規》 |
23.《ネタバレ》 人間ってどれほど醜いのか思い知らされます。普通の人でさえ、あんな風になってしまう。周りの人たちはメリックの外見の醜さ興味本位ながら、徐々に相反するようなその心の綺麗さに惹かれていく。そういう人たちに助けられ彼は最後にはやっと普通に横になって寝れる事。 普通の人にすればなんてことはない事が、メリックには普通に暮らすことが夢だったんだろうと思った最後のシーン。泣けます。 【将】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2008-08-14 20:26:44) |
22.《ネタバレ》 メリックを見世物にし、差別したりする心の醜い人達と、心の美しいメリックの対比に心をうたれました。メリックの顔が出る前に、どんな姿なのだろう?と興味を抱いた自分は、なんと心の醜い人間なのか・・・非常に考えさせられる映画でした。 【バムセ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2008-01-14 01:26:06) |
21.《ネタバレ》 衝撃的だった。そして切なくなった。主人公を取り巻く人間はおもに3種類。(1)彼を醜く思う見世物小屋の主人や客たち、(2)彼だって人間だ、と思うようにしてやさしく接する偽善者たち、(3)心の底から彼を案じ、愛する人たち。私も正直言ってこの映画を見た動機は(1)だった。一方、トリーヴス博士やケンドール婦人、そして劇場で拍手を送る人たちは(2)。(3)は逃がしてくれたサーカスの仲間たちと夢でしか会うことのない母親となるのだろうか。それにしても(2)の弱者を同情という優越感によってもてはやす姿は、最も性質が悪い。彼らは自分の善意に酔いしれているのだ。この映画はそんな人間性がさりげなくあぶりだされていく。そしてこの映画で最も感動するのは、そんな偽善をも受け入れるメリックの純粋さ。「生きているからこそ様々な喜びも苦しみも味わえるんだ」という姿が泣けてくる。常に受身だった彼が唯一選んだ能動的な行為が、「普通の人と同じように寝てみたい」なんてあまりにも切な過ぎる。母と観終わった後、お互い号泣したことを隠しながら無言で映画館を出てきたことを今でも思い出す。 【やしき】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-11-20 02:28:53) (良:1票) |
20.内容が重過ぎて、色々考えても、コメントが出てこない。 けどひとつだけ・・・映画の中で聖書の一部分を暗唱した後、メリックが言った言葉・・・ 「“詩編”23篇は美しいので好きです」・・・ なんて美しい心を持った人なんだ・・・(大泣き) 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-07-11 20:45:00) |
19.これを観たのがかなり小さい頃で、いわゆる、差別や偏見なんてちっとも考えない残酷なガキの頃やって、その頃の友達が、めっさ怖い映画あるで~、ほんまの話で、ゾウ男の話で、ゾウにふまれた女の人からうまれてくるねん。って感じで聞かされて、もう興味津々、ほんと見世物小屋にいく感覚で観ました。そしてその衝撃たるや、マジで怖くて、でもなぜかすうごっく悲しくなったのを覚えてる。そして、しばらくはこの映画の世界観にしばらくとらわれてちょっと憂鬱になってもーた。白黒なのが変にリアルに見えるんやろね。あれから一度も観てないんやけど今でも目を閉じるとアノ時の感覚は思い出せる。もう一度観たいとはあんまり思わへんけど。とにかく衝撃的な映画やとは思う。 【なにわ君】さん 10点(2004-12-22 15:15:20) |
18.《ネタバレ》 心がキレイで姿がキケイの人、姿がキレイで心がキケイの人。心と姿が等価値あるいは心のほうが優位ならば、世の中にはキケイがなんと多いことか。サンシャイン通りの劇場ポスター見てキケイ監督デビッドリンチのキケイ映画エレファントマンを観てしまう僕も心はキケイなんだと思う。でも敢えて面白かったといいましょう。だって映画だもの。あ、でもエレファントマンは実在の人物なんだそうな。てことはあれか。僕も見世物小屋の前でワクワクしながらメリックさんの姿を見てるあいつらと同じということか。そしてメリックさんのもつドラマ性を利用して舞台化したり映画化するデビッドリンチも藤原竜也君も同じなのか。本当に心がキレイな人は我々の前には現れないのだろうか。 でもレビューを書こう。 無理やりCGとかでリアルに作ろうとしている現代の映像屋さんたちがエレファントマンを観たら「あんなんじゃ全然キケイじゃないよ」とか思うのかもしれないが、大きな間違いである。あれがいいのである。メリックの特殊メイクは本当にすばらしい。リアルすぎず、雑すぎず。内側の俳優さんの演技が良く現れ、感情移入がとてもしやすい。それでいてデビッドリンチのキケイっぷりも損なうことがない。最初は目を逸らしてしまうが慣れてくると表情が切なくて正視できなくなる(本当に心がキレイな人は我々の前には現れない、ということか?)。もし医師が嘘でも「キケイは治るよ」とメリックに言っていれば、彼は生きたかもしれない。ぜひそうであって欲しい。でなければ我々にとって、生きることはたいした事でなくなってしまいそうで怖い。とはいえ最期の表情は本当に安らかだった。僕も演劇をやっていたのですが、公演が成功した日の夜は幸せで「今なら死んでも構わない」と思うときがある。彼もあの時同じような心境だったのだろう。とにかくメリックさんに対する同情の気持ちで胸がいっぱいになっている。 という風に、この話はメリックの孤独な物語なのだが、それ以上に人間のキケイ性をむき出しにした、いわば映画を含めたショービジネスに対するオブジェクションともとれる不朽の名作。 |
17.心臓握られた感じでみてた。ホンマに美しくなりたいんやったら、見るべき。 【ヒロヒロ】さん 10点(2004-11-22 16:49:12) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 自分としては数少ない、涙が自然に出てきてしまう映画でした。最後のシーンよりも個人的には劇場で拍手に包まれながら立ち上がるシーンが一番感動的でした。そこで周りから人間として認められ、自身を持ち出したのでしょう。みんな(人間)と同じように眠りたい、しかしそうすると死んでしまう。それを知っていて眠りにつく彼は、人間として一生を終えることができることに誇りと幸せを感じていたのでしょう。ラストシーンにたどり着くまでさまざまなことがあるけれどもどれも無駄がなく、息つくひまももたせなかったように感じます。これほどいい終わりかたをする映画はそう無いと思いました。もう夢中になって観てしまいました。もう一回いつか観よう。 【ノス】さん 10点(2004-11-08 19:42:26) |
15.この作品は、自分の顔にコンプレックスを抱いていた高1の頃観たんだけど、凄かった。何が凄かったか、映像、内容、監督(デヴィット・リンチ)全てにおいて凄かったそして重かった、当時、自分の顔が醜いと思っていたけど、世の中にはもっと悲惨な人もいるんだと考えさせられた作品。一度は他人から顔のことで中傷されればこの気持ちはわかると思う。衝撃的作品!!ずっと泣いていて、次の日自分の醜い顔がさらに拍車をかけて醜かった記憶があります(笑) |
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14.条件付の満点。この作品はどこに視点を置くかで大きく評価が変わる。メリックの立場で物語を追った場合、これ程までの名作は無いと思える。開放され、いくつかの困難を乗り越え、寺院の制作を成し遂げ、やがて安らぎを手に入れる。途中、人の心の優しさに触れ、思わず涙してしまった瞬間はあったが、ラストに涙はなかった。夢にまで見た安らかなるハッピーエンドである。僕は幸せでした。但し、メリック以外の視点で物語を追った場合には、それぞれ感じ方が変わってくるだろう。ある者は罪悪感を、ある者は嫌悪感を、ある者は悲しみを覚えるのだろう。あなたの瞳には何が映るのでしょうか。 【もとや】さん 10点(2004-04-01 00:42:38) |
13.始めてみた時衝撃でした。 泣きました。(テレビ) 【zero828】さん 10点(2004-02-24 20:49:35) |
12.「プラトーン」でも使用していた音楽が良かった。 あれを聞くだけでも涙ボロボロです。ああ、このコメントを書きながらももう涙腺が・・・。 【チャールストン】さん 10点(2004-01-05 22:07:41) |
11.イイネェ・・・音楽がいいねぇ。悲劇なんだけど喜劇、でも悲劇。 |
10.こんな映画作るなよ!俺は、メリックとキスは出来ない。こんな俺は、いやな奴かも知れない。正直、引くけどやさしくはすると思う。でも、それって自己満足だな。 |
9.駅のシーンと、芝居を見に行く前の二人のやりとり、そして就寝のシーンで号泣。涙腺、故障したんじゃないか?って位に、です。あぁ!趣味の悪いホラー作品と勘違いしていて二十年以上も観ずにいた自分の「間抜けさ」を、呪うっス。同じ勘違いしている人って、いるのかなぁ。 【aksweet】さん 10点(2003-09-04 10:54:44) |
8.正直こんな映画があるとは思わなかった。自分の顔を見たときの驚きにものすごい切なさを感じた。 【kimi】さん 10点(2003-06-24 01:42:58) |
7.リンチの中では唯一好きな映画です。最後で泣かなかった人居るのかなー?余談ですが、奇形を出演させた問題作、50年前の映画「フリークス」にもエレファントマンが少し登場します。 【フィャニ子】さん 10点(2003-05-14 17:47:21) |
6.自分は、顔はかっこいい方ではありません。と言うより、かっこ悪いです。だから、途中で出てきた病院で働く男に鏡を出され、自分の姿に叫ぶ姿は自分を見ている様でした。又この作品は、人間の本性(アンソニーが実は自分も見せ物にしていた所等)が上手く出ていると思います。デビット・リンチ最高です。 【伊藤】さん 10点(2003-03-28 05:11:36) |
5.美しさって何なのでしょうか?・・・考えても分かりませんが、考えてしまいます。最後に横になって眠るジョン・メリックは、例え他人が不幸と言えど、彼にとっては幸せだったのでしょう。だって、教会の模型を造り終えたのだから。 【カエル】さん 10点(2002-10-13 18:11:02) |