1.《ネタバレ》 登場人物は黒い肌の混血児姉弟、父親はアメリカへ帰り、母親には先立たれ、東北の田舎に住む祖母と生活をしている、その容貌から街や学校では奇異の目で見られ・・・・・という設定から非常に暗い映画なのかと思ってましたが、実際観ていくと全く違っていて良い意味で裏切られました。
確かにこの姉弟の境遇は厳しいし、実際に差別を受けるシーンも出てくるんですが、彼らには祖母をはじめ行く末を考えてくれる人達が存在しているんですよね。それで、イサムがアメリカに養子に行ってからは、残されたキクの成長を描いていく形になるんですが、このキクがまた、観ているこちらが「頑張らなきゃ」と思ってしまうくらいたくましいんですよね・・・・もちろん、厳しい境遇に押しつぶされそうにもなるんですけど、撥ね退けちゃう強さを持ってるんです。「ケ・セラ・セラ」をつぶやくようにそっと歌うシーンはちょっとウルっときましたね。
それと、祖母役の北林谷栄の演技が素晴らしかったです。私自身自分の祖母を思い出してしまう位の厳しくも愛情を持ち合わせた感じで、それだけでなく時にユーモラスで可愛らしいおばあちゃんを演じています。近所の人たちや孫とのやりとりなんかはほとんど喜劇に近いノリで楽しかったです。(しかし当時40代後半というのが驚きです・・・・今もご健在ですし。)
笑えて泣けて、少女の成長に励まされて・・・・本当に素晴らしい映画でした。(バックに流れるピアノ音楽も良かったです。)
しかし、イサム役の奥の山ジョージさんって後に「ルパン三世のテーマ」を歌っているんですね。ちょっとトリビアです。キク役の高橋恵美子さんも高橋エミの名で歌手活動を行っているようです。