2.《ネタバレ》 オリヴィエの台詞はわずかしかありませんでしたが、彼の強靭な体からメッセージを発していました。 テーマは「復讐」と「赦し」ですが、私はオリヴィエの「喪失」と「再生」の物語だと感じました。崩壊した夫婦のもとに、自分の息子を殺した少年が現れた。オリヴィエは驚いたのでしょう。夢の中では悪魔だと思っていた少年は、実際には息子と変わらない普通の少年だったのだから。 この映画のラストは実に印象的です。オリヴィエを「喪失」させたこの少年が、オリヴィエを「再生」させている。誰かを救うことは自分自身のためなのです。他人を救うことによって自分が救われる。たとえそれが最愛の息子を殺した人間であろうとも─。オリヴィエが少年を赦したのではありませんし、オリヴィエが少年を救ったのでもありません。その反対なんです、少年がオリヴィエを救ったのです!こんなことを言ったらオリヴィエに怒られるかもしれませんね。遺族が加害者を赦せないのは当然です。しかし赦すことによってじつは自分が救われるという真実は意外と知られていない・・。見ごたえ充分の人間ドラマでした。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-07-09 22:04:01) |