1.《ネタバレ》 あ~、これ観るんじゃなかったよぉ・・・。最近再見した「素晴らしき哉、人生!」での怒涛の感動の余勢を駆って、この作品もみてみたんですが・・・もう幻滅でした。全盛期を過ぎたとはいえキャプラ監督作だし、アメリカ版山岡久乃セルマ・リッターも出てるし、衣装はイディス・ヘッド担当だし、主題歌「ハイ・ホープ」はアカデミー賞受賞作という事で、心暖まるヒューマンコメディを正直期待していたんですが・・・まるでマイアミの海水みたくなまぬるい映画になってましたね。どうしようもないダメダメ男、シナトラ扮するトニーに何ひとつ共感出来る人間性が感じられないのが一番の原因。いや、別にダメダメ君が主役でもかまわないんですよ、ちゃんと観客に感情移入が可能なキャラクターにしてもらえれば。でもコイツったら最後の最後まで、実直な兄貴夫婦にパラサイトしようとしてるんだもん。映画が終わった後だって、きっと死ぬまで地道に生きる努力なんかしないで、周囲に甘えて一攫千金を夢見るタカリ人生を送るに決まってるはず。しかもキャプラ自身、この男をダメなヤツだけど暖かく見守ってやろうじゃないかと思ってるフシがある。ダメだよ~、こういうヤツは甘やかしちゃあ、一度徹底的に見放さないとさあ~。愛する息子がいるからって、それを免罪符して全て正当化しようとする根性は絶対間違ってる!この男を結果的に突き放せなかった事に、キャプラという監督の限界を感じました。「素晴らしき哉、人生!」で大いなる感動を与えられた方には、出来ればこの映画を目に触れる事がないよう祈るばかり。アメリカ映画では脇役はともかく、主人公であまり嫌だな~と思うヤツは少ないけど、この映画のシナトラは、はらわたが煮えくり返るほど嫌なヤツ個人的ベスト3に確実に入ります。こんな映画、一体誰が新規登録したんだって思ったら、自分でした、しかも二年も前に・・・。本当にごめんなさい!