1.《ネタバレ》 生まれつき病弱で車椅子が手放せない女子高生、クロエ。毎日様々な種類の薬を服用し、たびたび喘息の発作にも悩まされる彼女は、周りの介助がなければ生活することもままならなかった。そんな彼女を献身的に支えるのは、これまで女手一つで育ててきた母親、ダイアン。クロエは、過剰なまでの愛情で自分を支えるそんな母とずっと郊外の一軒家で暮らしてきた。ところが、大学進学を機に一人暮らしを始めたいというクロエの言葉を境に母親の態度が徐々に変化し始める。次第に不信感を募らせたクロエは、母親の目を盗んで毎日飲まされる薬の正体を探り始めるのだった。そのうちの一つである緑色のカプセル、それはなんと犬用の筋弛緩剤だった――。「お母さんは私をどうしようというの?」。底知れぬ恐怖を感じたクロエは、たった一人で母親の手から逃れようとするのだが……。自らを徹底的に管理しようとする母親とその手を逃れ自由を求めてもがく娘の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・スリラー。とにかく脚本に捻りがなさすぎ!こんな単純で時間も90分に満たない短い作品なのに、途中の引き伸ばし感が半端なく最後まで観るのがかなり苦痛でした。舞台もほぼこの一軒家の中だけ、登場人物もほぼこの親子だけというこの設定で90分持たそうと思うとだいぶ高度な演出力が必要になると思うのですが、正直そんなもの皆無。ひたすら地味で凡庸な展開と地味で凡庸な映像と地味で凡庸なキャラクターのてんこ盛り。脚本にも突っ込みどころ満載です。途中、捕まえた娘を母親が家に監禁するのですが、わざわざそこに娘の出生の秘密が書かれた新聞の切り抜きを保管してるというバカっぷり。いや、何のために自分が不利になるだけのそんなもん残しとくねん!後味が悪いだけでさして面白くもない最後のオチに至ってはもはや怒りすら湧いてきちゃいました。監督は、パソコンのモニター上の映像だけで最後まで展開する『search/サーチ』を撮ったアニーシュ・チャガンティ。前作で見せた、あの技ありなアイデアと練られた脚本の力はいったいどこへいったのでしょう。正直、観るだけ時間の無駄の凡作としか僕には思えませんでした。