1.《ネタバレ》 誰もストーリーについてまともに語ろうとしない映画なのは納得です。大きく分けて二部構成の内容で前半のブロンズ島の場面までは主人公は女神ヘラに助けられ、後半は王女メディアに助けられるという構成になっています。前半は確かにわくわくする展開です。仇ペリアスの策略、冒険のための仲間集め、そしてブロンズ島での銅像ゆえにダイナメーションのカクカクした動きが見事にハマったテイロスの恐ろしさ、しかしこのわくわくする前半を受けて展開する後半が酷いのです。ストーリー上何の意味もない怪鳥に襲われる老人の場面で始まり、そこが終わるとハイドラまでダイナメーションのシーンすらなく変なデカいおっさんまで見せられる始末。テイロスとの戦いの後に主人公以外では一番キャラが立っているヘラクレスを途中退場させているので有名な骸骨戦士のクライマックスも誰か誰だかよくわからない人物と骸骨の戦いを見せられるだけなので合成の完成度こそ感動的ですが物語のクライマックスとしては盛り上がりに欠けます。それにこの話ってまるで敵の王国が邪悪みたいな描き方をされてますが、冷静に考えてみれば主人公たちのやっていることって劇中で指摘される通り盗賊・海賊のたぐいでしかないんですよね。序盤で提示されたペリアスへの復讐について回収されず投げっ放しのまま終わってしまうので、自分がやられたことを別の国でやり返しただけで気分が悪い結末です。ギリシア神話を知っていれば描かれなかった部分を補完できるのならまだ良かったのですが、なまじギリシア神話の知識があるとこの幸せそうなカップルが後々血生臭い悲惨な最後を迎えることがわかってしまい素直に楽しめなくなるおまけ付きというオチです。レイ・ハリーハウゼンが特撮を担当していることが唯一の価値で映画としては結構ダメダメな作品だと思います。