2.《ネタバレ》 いきなり主人公の科学者カップルが車を運転しながらイチャつきますが、この手の50年代ハリウッドSF映画のとはちょと設定が違って二人は前日に結婚したばかりのアツアツ・カップルでこれはナンパでも不倫でもないのでご安心を(笑)。このお熱い車にいきなり空飛ぶ円盤が急接近してきて「おおっ」とさせられます。ハリーハウゼンお得意のコマ撮りUFOですけど、ちょっとカクカクした動きはなんか味があります。この映画のエイリアンはバリアを張ったりロボットみたいなスーツを着用したりで時代的には進んだ映画表現かなと思いますけど、チラッと見せるエイリアン本体はちょっと前に話題になったあのインチキ・エイリアン解剖フィルムのエイリアンとそっくり、というか本作のエイリアンこそが元ネタなんでしょうね。 ストーリー自体はお約束の好戦的な“アメリカ万歳!”なわけで、特に語るような要素はありません。戦闘シークエンスでは実写フィルムが多用されていますが、編集は雑です。UFO迎撃にB29が出動してきますが、時期的にはとっくに退役してるけどまだ州空軍あたりにはストックされていたかもしれません。ところが次の撃墜されるシーンになるとB17に変わっちゃってます、それも大戦中に撮影された有名な映像です。ジョージ・パルがオール特撮で『宇宙戦争』を何年も前に世に出しているというのにこの体たらく、ハリーハウゼン特撮の無駄遣いと言いたくもなります。こういう志の低い製作者が駄作を量産してくれたおかげで、ハリウッドのSF映画の進歩が停滞してしまったのは残念なことです。