1.《ネタバレ》 アメリカから見たベトナム戦争ではなく、ベトナムから見たベトナム戦争ということで、希少なこともあり、期待して鑑賞しました。現在から過去を振り返るドキュメント風の構成になっていて、前半は従軍カメラマンによる、北ベトナム軍兵士の軍隊生活の回想、後半はマッサージ師による、ベトコン軍人によるスパイ活動の回想、と思われるのですが・・・驚くべきことに、回想していると思われる人物が、回想劇の主要人物として登場しないので、無用な混乱を生んでいるのですよね。そんなこととはつゆ思わないので、現代・過去の切り替え部分で、「…で、誰?」と当惑してしまいます。さらには、前半と後半のエピソードにストーリー上の絡みがないので、どちらも中途半端で、散漫な印象が拭えません。残念なところです。前半のエピソードを、もっと泥臭く深堀りするか。後半のエピソードを、もう少しドラマの背景が伝わるように深堀するか。あえて、2つ欲張らず、どちらか一方で良かったかも知れません。興味深かったのは、ベトナムの軍隊に結構な数の女性兵がいたことです。若い女性が、髪も長いまま、軍帽に軽装で、男性兵に混じって行軍していたりします。そういえば、「フルメタル・ジャケット」にも女性兵士がいたことを思い出しました。自国が戦地になるということは、民間人、女性や子供が戦争に巻き込まれ殺傷される苛酷な状況なのですが、かたや軍隊に目を向けると、軍人と民間人の垣根が低くなり、軍隊特有の組織維持のための厳しさや緊張感は希薄になるようで、よその国に乗り込む軍隊を見慣れた目には新鮮でした。