1.《ネタバレ》 フェイ・ダナウェイ、マルチェロ・マストロヤンニの組み合わせは珍しいうえに、制作年は「俺たちに明日がない」の翌年で「ひまわり」の2年前。カルロ・ポンティ製作でビットリオ・デ・シーカ監督作品となれば自ずと期待は高まります。なのですが、はずれでした。アメリからやってきた不治の病に冒された女(ジュリア)が、以前に一度声をかけられた男(バレリオ)と恋に落ち、楽しい日々を過ごす。やがて彼女の友だちが連れ戻しにやってきて、彼女は不治の病で病院に入らないと悲惨な死に方をするとバレリオに告げる。ジュリアは帰国しようとするが、どうしても帰国できなくてバレリオの元に戻ってくる。そして二人は山間の険しい道をドライブする。危険なほどに車を暴走させるジュリア。そのよこで静かに見守るバレリオ。やがてジュリアに運転を代わってバレリオがゆっくりと車を走らせる。前半は恋人たちの楽しい日々、後半は死へと連なる哀しい描写。構成はよくわかるのだけれども、全体に説明不足で製作の意図通りに感情が揺すぶられませんでした。二人の楽しい日々はたくさん描かれていますが、あれで別れが辛くなるほどに2人がのめり込むとは思えない。こういった作品はいかに二人の気持ちが盛り上がっていくかの過程を鑑賞者に追体験させないと、後半の哀しみにちっとも共感できないんですよね。マストロヤンニは情けない気弱な中年を演じることが多いのですが、ここでは珍しくキリッとしたしっかりとした中年を演じています。フェイ・ダナウェイのミニスカート姿も珍しいかな。何カ所かしゃれた会話はあるのですが、やっぱり失敗作でしょう。全編イタリア語なのでわかりようがないのですが、一つだけ気になるのは、もしかしたら字幕が悪いのかも・・・・・・・。