2.《ネタバレ》 感動モノというには、あまりにも雑さと破綻が目立つ作品。
まず、主役のリナがなぜあそこまでヤサグレてしまったのかの説明が一切ないのが、観客の感情移入を阻んでいると思う。
小金持ちの家の一人娘として両親に溺愛され、たぐいまれなる美貌も持って生まれたリナ。
彼女に近づいてくるのは、男も女もその美しさを利用しようという人間ばかりで、そのため彼女は人間不信になった…的な説明はあるものの、あそこまでヤサグレる理由としてはあまりにも弱すぎて、こっちはいまいち納得いかない気分のままリナの荒れぶりをみせられることになる。しっくりこない。
病気になっても、今までの所業がたたって、ちゃんと見舞いに来てくれる友達もいない。そりゃそうだよな~と見てる側は思うワケで、そこに「だって友達だから」とストーカーのようにつきまとうマキの出現は、感動ではなく恐怖をよんだよ…。
結果から見れば、マキは自分が難病だったからこそ、密かに友達として慕っていたリナが病気になった時に放っておけなかったわけで、その行動はおかしくないはず…なのだが………。
本仮屋ユイカの演技がキワモノすぎて、マキが変な子にしか見えなかったよ。
一番よくなかったのは、リナの癌もマキの筋無力症も、表面だけの知識しかない人間が描写した感じしかしなかったところだ。
乳がんで乳房を全摘したら再建手術をするのが一般的で、現実ではあんな傷跡にはならない。ああいう傷跡になるという認識は、もう数十年以上前のものだ。
男が逃げ出すシチュエーションを描きたいためにテキトーに乳がんという病気を使った感がすごくあるのだが、現実にその病気に罹患して闘病している人は多いのだから、もっとちゃんと病気について学んでから使うべきだろう。
そういう知識のない若い人がデキトーに作りました、という感じが最後まで消えないのが、残念。
途中で死んじゃう子役の子も、「けなげに病気と闘ったけど力尽きて死ぬかわいそうな子」「リナの事をすごく慕ってくれた子」という役をストーリー上必要だから振り分けられただけ、というのがアリアリだったし。
結局、荒れてた女子高生が病気でさらに自暴自棄になった時に救ってくれたのは友達で、しかしその友達はもっと重い病気で、友達を介護するために彼女は立ち直って看護師になりましたっていう、「感動的な筋書き」ってのが最初に決まってて、そこにテキトーにエピソードを作ってテキトーに配役してって言う感じが見え見えで、しらけるったらないよ。
こんなんで感動できるのは、「誰も自分をわかってくれない」って中二病をこじらせているティーンの子だけじゃないのかな。
すべてがテキトーで雑で嘘っぽいストーリーだったけど、北川景子の美しさだけは本物でした。