4.《ネタバレ》 ファシスト残党である4人の権力者たちが、美少年美少女を狩り集めて、秘密の館で徹底的に辱めを与える。
強制的に性交させたり、裸で犬のように四つんばいで歩かせ餌を与えたり、人糞を食べさせたり。
酷い目に遭わせることで、自らの優越感や支配欲を満たす。
SM的なプレイや支配欲ならまだわかるが、スカトロシーンは気分が悪くて早送りしてしまう。
エロはいいけど、グロは勘弁。
舌を切り取ったり、頭皮を剥いだり、目玉をくり出す拷問も、目を背けたくなる人は多いだろう。
監督のパゾリーニは、間違いなくイカれてる。
映画の完成まもなく惨殺されて、これが遺作となったようだが、それも必然の結末か。
邪悪なものを呼び寄せる妖気が漂ってくるようで…。
監督は寓意をいたるところにこめてメッセージ性の強い作品を作ろうとしたようだ。
ただ、それを汲み取るのは難しいし、無理に汲み取ろうとも思わない。
消費社会に対する批判だとかなんだか言ってるようだが、それも後付けで、根底にあるのはパゾリーニの嗜好だと思う。
三菱銀行人質事件の犯人・梅川が、この映画を真似たことは有名。
サディスティックな性癖を刺激する内容なので、梅川のような人間が作り手の意図を別にして、この作品に傾倒したのも頷ける。
エログロの世界は、下品なB級テイストに仕上がりがち。
ところが、耽美的な映像、優雅なピアノの旋律、どこか宗教的な香りにまとわれ、そうしたテイストが抑えられている。
それがまた悪魔のような狡さを感じさせるのだ。
特異な映画ということで、一度は観たほうがいいが、二度とは観ないで封印すべき作品なのかも。