3.《ネタバレ》 夢を追いかける男はかっこいい!同じ男なら誰もがそう思う。でも実際には、夢をつかめる人間はほんのひと握りだ。努力努力とよく言うが、それだけで自分の描くことが叶うほど、世の中は甘くない。でもだからこそ、エンターテイメントの世界のおとぎ話に、ひと時の夢を見る。一時の現実逃避。お金を払う側の特権だ。
しかしこの映画は、夢を追いかける男の話なのに、全くもって夢を共感できなかった。作品の中で主人公が言うセリフ「自分のことしか考えない奴がエリートなわけない」て、ちょっと待てよ!あんた今夢追いかけて自分のことしか考えてないやんけ!なんか母親の病気や、友人の死を、上手いこと夢にすり替えてるだけにしか見えない。
それともう一つ共感できない最大の原因は、とにかく恵まれすぎている。母親、妻、娘、仕事仲間、上司、その他出会う人たちみ~んないい人ばかり。典型的なステレオタイプですね。だからハラハラドキドキ、この先どうなるんだ的展開はゼロ。はいはい、て感じ。
それに、田舎は良くて東京は良くないみたいなニュアンスも好きじゃない。息が詰まりそうな都会のジャングルの中で、面白くもない仕事に日々汗水流している人たちはたくさんいます。そういった人たちのおかげで私たちは生活を営んでいるんです。
恵まれた環境の中で、自分の好きなことを仕事にして、豊かな自然の中でのんびりと過ごしている主人公にどうして共感できましょうか。
悪いことばかり書きましたが、主人公の中井貴一は、相変わらず安定した演技力で見ていてホッコリさせられます。それに比べて娘役の子はダメダメでした。喋っている言葉がセリフにしか聞こえない。表現が乏しい。手がブラブラしていて気持ち悪い。ちゃんとオーディションしたんですかと疑いたくなる。
まぁ結論を言うと、日本人が大好きな典型的日本人感動ステレオタイプ映画でした。