2.《ネタバレ》 この手のエイリアン物であれば、モブとして殺されるだけで終わるであろう「不良少年」にスポットを当てたのは新鮮で、面白い発想。
刀を背負った「ニンジャ」スタイルの主人公というのも、如何にも海外の映画オタクの心を掴みそうな感じです。
ただ、冒頭にて「女性を刃物で脅して金品を奪う」という姿が描かれており、そこで(えぇ、こいつらが主役なの?)とドン引きしてしまって、結局最後まで感情移入する事が出来ず、残念でしたね。
そもそも作中の情報から判断する限り、黒いエイリアン達が人々を襲う理由は「白い小さなエイリアンを主人公に殺された復讐」としか思えない訳で、どうにも観ていて居心地が悪い。
そのキッカケとなる「エイリアンの殺害」にしたって「正当防衛」「事故」ではなく、わざわざ逃げたのを追いかけて丁寧に殺しているんだから、情状酌量の余地は無し。
作中でも「こうなったのは俺のせい」と言っているのだから、作り手としても確信犯的にそういった流れにしたのでしょうが、それにしてはラストにて主人公が英雄視されちゃっているし、どうにも不可解なのですよね。
「この主人公も、実は親に愛されない可哀想な子だったんですよ」とばかりに子育てを放棄されていた事が示唆されても、それで悪事が正当化されるとも思えず、何だか中途半端な印象を受けました。
墜落死するかと思われた主人公が、国旗に捕まって助かるというオチからしても「可哀想な不良少年を国が救ってあげるべき」というメッセージが込められているのかも知れませんが、本人が非行を反省する描写も殆どありませんし、押し付けがましいものを感じちゃいましたね。
シンプルな黒いエイリアンの造形は好みでしたし、強力過ぎない武器を用いて、狭い団地内で戦うという内容自体は、とても良かったと思います。
「ロケット花火を用いてのガス爆発」という敵の倒し方も痛快で、観ていて気持ち良い。
それだけに、主人公にとって都合が良過ぎる世界観に付いていけなかった事が、勿体無く思える一品でした。