1.《ネタバレ》 コララインが大変よかったので期待して見たが、全くの期待外れだった。コララインではあちこちに「ぎょっと」「はっと」する場面が出てくるのだが、本作では唯一冒頭で「実はおばあちゃんは死人だった」という部分ではっとさせられただけで、後はずっと「まぁそこそこ面白い」程度の話に終始してあっけなく終わってしまった(姉が弟を一転してかばう場面はよかった)。
技術や見せ方ではなく、脚本自体が面白くない。死人と会話できるという設定はともかく、いじめられているノーマンがなぜ人々を救うという行動に出るのかという動機がきちんと描かれていない(本人の倫理観だとしても、もっとそれに説得力をもたせないといけない)ので、父母を助けに行くという明確な理由があったコララインと比べて不自然になってしまうし、魔女自体もコララインのような「まがまがしく恐ろしい冷酷な悪役」ではなく、実は魔女裁判で殺された小さな女の子であり、しかも恐ろしいはずのゾンビも人を襲うのではなく「人に襲われる」という変な設定であり、よく考えると一人の犠牲者も出ていない。これでは恐怖感が全く薄れてしまう。もっともこの魔女自体が被害者とも言えるし、むしろノーマンは町の人ではなく(自分とよく似た境遇だった)魔女を助けるために行動したとも言えるのだが、それならそれでその方向をもっと強く打ち出さないと説得力がない。
それとこれは子供も見てよい映画だと思うのだが、冒頭の方ではっきり「セックス」とノーマンが答えるセリフがあるのが気になった。「大人のすること」とかいくらでもぼかせるはずであり、翻訳に疑問を感じざるを得ない(字幕の方は見ていない)。