1.《ネタバレ》 ある貧乏な若夫婦が、謎めいたティーポットを手に入れる。ところがそのティーポットは、体を痛めつけると金が出てくるという特殊性能があった・・・という、なかなか魅力的な出だし。ただ、そこから話が意外に広がらない。金の魔力が作品の重要要素なのはすぐに想像がつくので、そうするとこういう場合、主人公の心理変化や人格変化がどう生じるか、というところが見せ所となるはずなのだが、あまりその辺が深められていない(ついでに、メイクや衣装の変化も意識されていなかったような・・・)。また、貧乏路線の友人夫婦というのが対比軸になるはずで、そっちではむしろ「お金ない生活でも十分楽しい!」的なところを見せてほしかったのですが、その辺も使いこなされていない。結果、そちらの着地は実に安易なものになっています。金を稼ぐプロセスにしても、もっとネタが欲しいところでした(バーで大男に挑むくだりなど、私は逆に、「俺に挑むとはなかなかの奴だ!」みたいな感じになって、痛めつけられることもなく金を稼ぎ損ねる、とかを想像していたのですが)。というわけで、作中の登場人物同様、制作者もティーポットに絡め取られて、そこから離れられなかったのではないかという気がしています。