1.実際に戦場を見なければわからない、と、デビッド・ジャンセン演じる反戦派の従軍記者が、ジョン・ウェイン演じる大佐についてベトナムにやってくる訳ですが。そして、「ベトコンの残虐さとアメリカ兵の雄姿」を目の当たりにする訳ですが。まあ要するに、一番状況がワカッテナイのはジョン・ウェイン御大その人であった、ということになってしまう訳ですが。何しろ、特に前半、戦争映画とは思えないノホホンとした雰囲気。音楽も何だか陽気。しかも、ベトナムに舞台を移すと、緊張感が増すどころか、ノリはもはやエキゾチズム。音楽がまた、観光気分を盛り立てる。おいおい、“戦場”にやってきたのではなかったのか・・・。しかも、いくら観光気分を盛り立てようとしたところで、この映画、全体的に「アメリカ国内でロケしました」感が、横溢してるのよね。どう見ても、東南アジアの光景ではなく、アメリカの光景にしか見えないシーンがほとんど。この時点で、苦しくなってくる。ジョン・ウェイン自身は、常に軍服に身を固め、語る言葉は戦争のことばかり、間違っても家族の話なんかはしない、まさにこれぞ軍人、というキャラクター。こういうちょっと偏屈なキャラが映画を盛り上げるのよね、と期待してたら、中盤でしっかりスーツに着替えてくつろいでるしなあ。普通のおっさんやんか。しかしさあ後半。いよいよ派手な戦闘シーンだぜ。と言いたいところだけど、うーん、近代戦争を描いているのに、何だか、『アラモ』の時と同じような雰囲気、同じような演出だなあ。で、迫力の点ではむしろ負けている気が。何でそうなるの。しかもしかも、この(結構長い)戦闘シーンにあんまし意味は無くて、クライマックスは「要人誘拐」というセコ過ぎるミッション。戦争映画らしいスペクタクル感も薄れていき、一体この映画、何を描きたかったんだろう、と。あまりに緊張感の無い映画でした。ただ、印象的な脇役の存在が、物語に変化をつけ、ラストには少しホロリとくるものもあるのですが。