3.《ネタバレ》 一度見たら忘れないアクの強いキャラクターに、逆立ちしても撮れない唯一無二のシーンの数々、
ブレーキの壊れたハイテンションで臭いも生活感もあふれるエネルギッシュな世界観。
クストリッツァならではの強烈なパワーが感じられるが、
前作の『アンダーグラウンド』から"悲苦"と"政治"を抜いたら物語の緩急がなくなって、
一本調子で終わってしまったのが本作。
列車から石油強奪をするわけでもなく、大物のワルを出し抜くコン・ムービー的な要素もないので盛り上がりに欠ける。
クライマックスの望まない結婚からの延々と続くどんちゃん騒ぎがあれど、必要以上に長くダレてしまう。
クセの強さがはっきり分かるものの、前作が奇跡的なバランスで成り立っていたからこそ、本作には乗れなかった。
タイトル通り、幸せも不幸も、吉も不吉も同一で、切っても切れない関係。
それをひっくるめて人生はなるようにしかならず、全身全霊で人生を楽しんでいくしかないじゃないか。
故国の苦難の歴史を味わってきたクストリッツァの人生観が垣間見えた。