3.個人的には劇場公開版の編集がパーフェクトだったので完全版は蛇足以外の何物でもないと思いました。完全版は無駄に長く、見せなくてもよいシーンばかりを丁寧に見せています。これのおかげでいい加減青臭かった映画がよりしょんべん臭くなってしまった印象。例えるなら素敵な文学作品だったものが安っぽい三流TVドラマに成り下がってしまったような印象です。
愛や恋を知らない40歳の純情青年(おっさん)が、純愛(親心?)に目覚めて命を懸けてマチルダを守るラストが素晴らしかったわけですが、完全版のほうでは純情な童貞青年どころか、実はシッカリ大人でありました。という衝撃の事実までご丁寧に説明されています。また、13歳のマチルダのほうからグイグイ行き過ぎていて極めて不自然にも見えるし、結局のところ完全版の編集ではやたらとロリコン臭が強くなってしまっています。(というかロリコン映画にしたかった説もあるとかないとか・・)
ただし、大枠の部分では劇場版も完全版も良い映画であることには違いありませんし、やはりラスト付近でのナタリーの泣き顔は大変に素晴らしいです。
編集の難しさが露呈した完全版です。やはりいろんな事柄をぼやかして見せていた劇場版の編集は絶妙でした。観客の想像に任せるというとても大切な要素、名作に必須であるこの要素をバッサリ切り捨ててしまったミスはあまりにも大きい。