1.《ネタバレ》 これは映画じゃなくて実写版ロールプレイングゲームだ。世界をも滅ぼしかねない巨悪に立ち向かう勇者たち、というのが大筋で、プレイヤーは好きな勇者のシナリオでゲームスタート。試練をクリアして強く成長した主人公勇者は、最後に他の勇者たちと全員で力を合わせてラストボスを倒す-。この映画はまさにこの手のゲームの、すべての勇者のシナリオを、めちゃくちゃにつなぎ合わせたもの。それぞれの人物描写も何のひねりもなくて適当だし、人物間関係に厚みもリアリティもない。各人、途中で何がしかのトラブルに遭遇するも、まさかの突飛な展開でそれをクリア、パワーアップする。まさにRPG、マルチシナリオ。それも攻略本なしでは絶対クリアできないやつ。要するに、人格のない、戦力としての主要人物多すぎ。主役は誰だったんだ結局。というのが映画じゃなくてRPGだと結論付けるにいたった一番の要因。そして最後にはパワーアップした全員が力を合わせて巨悪を倒してハイ大団円。ちなみにチャン・ヅイイー扮する孤高の女軍人にいたっては、最後の戦いに直接参加するでもなし、何で登場する必要があったのか全くわからない。そもそも、舞台となっている精霊住まう霊山・蜀の世界観も説明不足で、陰と陽だの、天と雷だの、宇宙の力だの再生の力だの、といった、巨悪を倒すのに必要な力がどう相互作用するのかが最後まで理解できなかった。(あたしのアタマが悪いのか?ていうかたとえホントにこっちがアタマ悪いのだとしても、観客にそれを悟らせちゃっていいのか?)CGを多用した映像は凝っていて見ごたえがあるのに、中身が全く伴っていないので、せっかくの映像美も結局この映画をRPGに変貌させる手助けをしたに過ぎなかった。RPGも嫌いじゃないけど、映画を見たいときに映画じゃなくてRPG見せられても満足できるはずないのである。