6.《ネタバレ》 『サクセスストーリー』というワードに惹かれ鑑賞。結論から言えば、期待していたような作品ではなかったです。
『経営危機の靴工場の再生』というわくわくするストーリー。それは良いのですが、思っていたより『同性愛』『性同一性障害』の割合が大きい。それに対する偏見・差別といったものを、かなり真面目に取り上げてるので、結果映画のリズムが悪くなっているように感じます。
また、『従業員との衝突』『婚約者との衝突』など、困難が多いのはわかるのですが、その困難に立ち向かうには、チャーリー・プライスに魅力とパワーが足りません。
更に、チャーリーが『いかに靴と父親と工場を愛していたかがわかるエピソード』が、劇中ではあまり描かれません。この作品の最大の問題点は説得力の欠如です。それでもチャーリーが靴工場再生に向け、もっとなりふり構わない姿勢を終始見せてくれていたら、もっと印象は変わったかもしれません。
チャーリーは、『ミラノのステージのため、自宅を抵当に入れる。』『父が売却の話をしていたかどうかは関係ない。私にとって従業員は他人ではなく仲間だ。』などと熱い一面を見せます。この作品のプロットからいけばファインプレーでしょう。
ですがそれ以外の面はどうでしょう。私には彼の公私混同の面がやたら目につきます。最も大事なときに、婚約者の裏切りでささくれた気持ちをローラにぶつけるなんてのは、その最たる例。主人公に魅力が無いサクセスストーリーは、『偶然が重なった結果オーライの産物』にしか見えず、爽快感も何もあったものじゃない。
また、『ニッチの市場に活路を見出した靴工場に再び各企業から注文が殺到する』というのがゴールだと思っていたので、私としては、この作品はストーリーの途中でエンディングを迎えています。
更には婚約者とは理解しあえないまま、とゆうか理解してもらう努力すらせず、新しい彼女とくっついてしまう主人公。
冒頭でクビにされたままの15名の従業員。
どこまでが実話なのかわかりませんが、『実話』にのっかって、工夫と創作努力を怠った凡作だと思います。
ゲイバーの人達の脚をアップで写しての一言、『見て、ニッチの市場よ』。ミラノでの逆転ステージ。従業員達のカムバック残業。などなど、見所も多いだけにもったいない作品です。