1.原題は「小城之春」。
邦題が悪い。
それはともかくとして、原題の通り、狭くて閉塞的な邸宅の中で巻き起こる、愛情に関わる心理的葛藤を主に描いている。
これって題材として悪くはないのだが、この邸宅内での出来事を、何とか別の方法で解決できそうな気がして、ストーリーの流れに、苛立ちを感じた。
私がそれぞれの人物の立場なら、もっと他の方法を試していたと思う。
例えば、邸宅の夫婦について言えば、もっと早い段階で、冷めきった夫婦関係を解消して離婚をするとか。
それを時代的背景が許さなかったというのならば、仕方ないが。
そして友人の医師の立場なら、再三、若奥様の据え膳を拒否しているわけで、受け入れるつもりがないのだから、早々と邸宅を後にした方が良い。
色んな面で、各登場人物達の立ち振る舞いについて、納得がいかない点が多い。
これを観ていると、物語を面白くするための、作り手側の工作と勘繰らざるを得ない。
繊細なテーマだけに、もっと脚本を繊細に、緻密に作ってほしかった。
それと、物語には直接関係がないのだが、ビデオソフトの画質が悪すぎる。
せっかく撮影担当が、名手のリー・ピンビンなのだから、画質がもっと良ければ、評価も上がったかもしれない。