1.《ネタバレ》 冒頭のドラムマーチが勇ましいので期待が高まる。続く管制室の様子がけっこう本物らしく見え、管制員も本当に何らかの仕事をしているように見えて感心する(これは本物を撮影したのか)。火星の風景映像は単純な技法なのだろうが異世界の感じは出ており、これで造形物の貧弱さもある程度ごまかされている印象がある(が、ただの絵だけのものはさすがにごまかせない)。
当方としてはコウモリグモの映画と思って見たわけだが、そのほかの火星生物も出て来るので結構豪華である。まあ邦題の生物は出ない方が変なわけだが、人が食われるところなど見ているとThe Blobのようで結構恐ろしく、これに食われるよりなら感電死の方がまだましだと登場人物も言っていた。火星人ははっきり見せてしまうと失笑モノだったろうから、半分隠れているくらいにしておいてよかったと思われる。
またコウモリグモ(字幕ではコウモリ蜘蛛)は英語で"Rat Bat Spider"と言っており、日本語にはないネズミも入っているが、それでもカニ(エビ?)の特徴を捉えていないので一言では言い切れていない。撮影手法のおかげもあって結構怖く見えるが、フワフワ(トツトツ)と動く様子はクモの感じを出していて面白い。
ところで異星人が地球からの進出を歓迎しないという話は、日本では「ウルトラQ」第3話(1966年放映)を初めとして何例かあるが(「地球防衛少女イコちゃん」でも言っていた)、そういう発想はこのあたりが出所だったかと思われる。ラストでは、敗戦後に日本人が言われたようなことを地球人類が言われていたが、この頃の日本はすでに一億総懺悔して謹慎中であるから、これはいつまでも経ってもインディアン征伐を続けているつもりのアメリカ人に向けたものだろう。劇中でネズミコウモリグモが退散していく様子は哀れにも見えていたが、そもそも原因は地球側の狼藉だったのであるから向こうに非はないのであり、これはこの連中のトラブルメーカーとしての本質を象徴的に示したものと思われる。アメリカ人はネズミコウモリグモに謝れ。