2.《ネタバレ》 安易にワイヤーやCGを多用しなかった点は評価できるけど、その分、良くも悪くも旧来のカンフーアクションからの発展が無いので、残念ながら見ていて驚かされるようなシーンは無かった。
好きな人には申し訳ないけど、ジェット・リーのアクションも、個人的には特に凄いと思った事がない。監督の演技指導の問題もあるだろうが、この人の演技の欠点として、戦っている最中、反射的に「まぶた」をパチパチしたり、やたら眉を顰めたりする事が多いので、一生懸命さは伝わってくるが、「達人の凄み」は感じられない。眉一筋すら動かす事なく、敵の攻撃をビシッと捌いたり、紙一重で避けたりするからこその達人だと思うんだけど…。
肝心の闘技場での決闘シーンも「何でもアリ」なのか、ある程度ルールがあるのかはっきりしないまま、カンフー映画にありがちな「舞踏」のようなリアリティの無いアクションに終始しているので、「死闘」らしい壮絶な戦いなどひとつも無かった。もっとお互いの命をかけた異種格闘技戦が見たかった。
基本となるストーリー展開も薄っぺらく、言う事、成す事、幼稚でベッタベタ。「心身を鍛えて努力をすれば、立派な人間が育ち、国も栄える」という抽象的な理想論で包んでいるが、結局は中国マンセー映画になってしまっている。ラスト付近の「努力と向上!努力と向上!」の大合唱には失笑。ヘンなセミナーじゃないんだから(笑)。
日本人武術家を卑怯者に描かなかった点は対外的な配慮だろう。全体的にはテンポの良い見やすい作品だが、アクション面は前時代的。テーマに比して悲壮さや壮絶さが足りない。