16.《ネタバレ》 冒頭「ドラゴンに乗った人間」の目線で戦いが描かれる演出に興奮。
飛行速度なども程好くスピーディーだし、戦闘場面には「自分もドラゴンに乗って戦ってみたい」と思わせるような魅力がありました。
……とはいえ、根本的に「これ一本では完結していない」と思えるストーリーであり、満足度が高かったとは言い難いです。
従兄弟のローランの旅立ちなどは中々情感を込めて描かれていたのに、彼はそれ以降全く出て来ないし、最後もラスボスというよりは中ボスを倒して一段落、という感じ。
わざわざ主人公に「期待外れだ、弱いな」なんて言わせているくらいなので、恐らく作り手としても意図的に「今回倒した相手は、単なる手下の一人に過ぎない」という演出にしたのでしょうね。
それは次なる相手の強大さを予見させる一方で「本作単体ではカタルシスを得られ難い」という結果にも繋がってしまった気がします。
とかく展開が早くて、サフィラの成長速度も凄過ぎて、主人公との間に絆を感じられない辺りも、困り物。
空を飛んだと思ったら、いきなり大きくなって、いきなり喋れるようになっちゃいますからね。
飛べるようになる為の訓練を行うとか、早く大きくなれるように餌を食べさせるとか、言葉を教えるとか、そういうイベントにも尺を取った方が良かったのではないかと、つい思っちゃいます。
サフィラ自体は「えっ、メスだったの?」という意外性、熱くなりがちな主人公とは対照的に落ち着いた性格に、青い宝石のようなデザインと、魅力的なキャラクターであっただけに、実に勿体無い。
馬で先行しているお姫様に、ドラゴンに乗って簡単に追いつくシーンなど「ドラゴンに乗れる事の素晴らしさ」は、ちゃんと伝わってくる作品なだけに、もどかしい思いがありますね。
粗削りながらも、夢のある映画だと思うので、出来ればもう少し丁寧に作って、続編も拝ませてもらいたかったところです。