2.《ネタバレ》 質などを総合的に判断すると点数は低いが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではない。
その理由は、ニコラス・ケイジが出演しているからだ。
とはいっても、ニコラス・ケイジそのものが好きなわけではない。
彼の醸し出す胡散臭さが妙に本作の胡散臭さにマッチしているから、面白く感じられるのである。
もし、本作の主人公がマット・デイモンだったら、「ふざけんな」とブチ切れていただろう。
ニコラス・ケイジだから、「何でもあり」「破綻していようが何でも許せてしまう」という気持ちになれる。
しょぼい能力に見合うだけのチープなオーラを備えているので、彼はある意味でいい役者だ。
むしろ、彼を活かすために、もっとカッコ付けずに、なぜB級っぽく全体を演出出来ないものかと逆に怒ってしまうほどだ。
一般の観客には合わない作品だとは思うが、ニコラス・ケイジのB級テイストを感じ取れる人には向いている。
核兵器の爆発という大きなストーリーの割には、胡散臭い男を巡るFBIとテロリストの小さいストーリーに終わってしまう辺りが最高だ。
途中までは悪くなかったが、最後の銃撃戦が少々イマイチか。
肝心のクライマックスとしては、あまり納得はいかない。
さすがに分身するのはやりすぎだ。
冒頭の「カジノ脱出」を超えるような神業を披露して欲しかったところだ。
「こいつはスゲエ」「こいつは神だ」と思えるような動きを上手く演出できないものか。
その神業の行き着く先は、絶対に「分身」ではないだろう。
ニコラス・ケイジの余裕の動きと、それに必死に応えるFBI・SWATの連携を、微妙な違和感をもって上手く演出できれば、絶対に面白い作品に仕上がったはずだ。
議論が分かれそうな、オチや終わり方も個人的にはそれほど嫌いではない。
エンドクレジットが始まる前に、「この辺りで終わらした方がいいだろうな」と感じられたからだ。
あれ以上描けば、「蛇足」になってしまう。
このオチのために最後まで取っておいたのかもしれないが、途中でも「失敗する未来」をもっと多用しても面白かったかもしれない。
「死んだ」と思ったら、それは現実ではなかったという展開がもっとあってもいい。
「バンテージポイント」のように、要所要所で何度も何度も巻き戻されると、一風変わった映画に仕上がったのではないか。