4.《ネタバレ》 弱いパンダが、偶然龍の戦士に選ばれ、修業の果てに龍の巻物の奥義を極め、悪者タイロンをやっつけて町に平和をもたらす物語。パンダのヘタレ、弱さぶりは随所に描かれていて、そこは笑いのツボ。だがどうやって強くなったかは誰も説明できないだろう。シーフー老師のあみだした独自の修業メニューでは、さほど強くなったとは思えない。事実タイロンの前に登場したとき階段登りで疲れていて、息も絶え絶えとなっていた。龍の巻物には何も書いておらず、自分を信じろということでしかない。釈然としないままに映画は終わる。物語のもうひとつの軸は師弟愛だろう。ウーグウェイ導師とシーフー、シーフー老師とタイロン、マスター5、パンダの師弟愛が描かれる。タイロンが堕落した理由が龍の戦士に選ばれなかっただけというのは弱い。タイロンは孤児で、シーフーに育てられ、修業を積んできたのだから、簡単には裏切れないはずである。パンダも決闘が終わった後、シーフー老師のことを忘れていた。このあたりがちぐはぐではないだろうか。第三の敵を用意して、回心したタイロンと共に戦う展開であればよかっただろう。見どころは吊り橋での決闘シーン、これは迫力があった。竹馬、箸などの小道具を使ったセンスにも感心した。決闘ものとして見た場合、次の弱点がある。①敵がタイロンがひとりだけ。何万人もの敵と戦う回想が前半あったのに。②マスター5の見た目が弱い。女もいるし、カマキリやツルはいかがなものか。サイの方がずっと強そうだった。③必殺技がない。指固めは見せなかった。④敵の目的がさほど邪悪でない。強くなって国の支配をめざすなどの動機づけが欲しい。⑤自己犠牲などの感動場面がない。■最後に、父親アヒルとのからみはほのぼのとして温かみがあった。父親の言葉が、龍の奥義の秘密のヒントにもなった。いい味出してます。あのラーメンは食べたいと思った。